目次
不思議な出会い
それは、いつもの通勤路での出来事だった。
駅へ向かう途中の道端で、何かが光っているのに気づいた。近寄ってみると、それはシンプルだが美しいイヤリングだった。片方だけのイヤリングで、銀色のフレームに小さな青い石がついている。
誰かの落とし物かと思ったが、周囲には誰もいない。不思議と惹かれるものがあり、私はそのイヤリングを拾ってポケットにしまった。
その日は家に帰って、試しにつけてみることにした。
動物と話せる力
次の日、休日だった私は、近所の公園に散歩へ出かけた。イヤリングをつけてベンチに座っていると、足元に一匹の野良猫が近づいてきた。
「今日は寒いね。」
――ん?
猫が話している――いや、猫の声が“言葉”として耳に届いたのだ。驚いて思わずイヤリングに手を触れると、猫がこちらを見上げて続けた。
「どうしたの?驚いてる?」
私は慌てて話しかけた。
「え、本当に話せるの?これって……イヤリングのせい?」
猫は頭を傾げて、まるで事情を察したかのようにこう言った。
「ふーん、そのイヤリングのおかげで私たちの言葉がわかるんだね。」
不思議と怖さはなく、むしろ奇跡的な瞬間に胸が高鳴った。
動物たちとの会話
そのイヤリングには、動物と話す力があることがわかった。それからというもの、私は特別な日にはイヤリングをつけ、動物たちとの会話を楽しむようになった。
公園の鳩が恋の悩みを語ったり、飼い犬が飼い主への感謝を話したり、街中で出会う動物たちの“心の声”は驚きと温かさに満ちていた。
ある日、近所の飼い犬がこう言った。
「僕の飼い主、お腹が痛いって毎日言ってるんだ。でも病院行くの嫌だってさ。どうにかしてほしいよ。」
その話を飼い主に伝えると、後日感謝された。その飼い主が病院で早期の病気を発見できたからだ。
イヤリングは私に、動物たちとの絆だけでなく、いろんな人とのつながりも教えてくれた。
イヤリングの別れ
しかし、そんな日々は長くは続かなかった。
ある日、山道を散策していた時、ポケットにしまっておいたイヤリングがないことに気づいた。
「あれ?……嘘でしょ。」
散々探し回ったが、イヤリングは見つからなかった。森のどこかで落としてしまったのだ。
「まさかこんな形で失くすなんて……。」
胸が締め付けられるような思いだった。
不思議な余韻
それ以来、動物と話すことはできなくなったが、それでもあのイヤリングがもたらしてくれた思い出は私の心に刻まれている。
公園で話した猫、助けを求めた飼い犬、鳩のささやき……彼らとの交流は、私にとって忘れられないものだ。
時折、公園を歩いていると、野良猫が足元に寄ってくる。言葉は聞こえないけれど、彼らの眼差しが、まるで「また会えたね」と語りかけているように思える。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み
1冊115円のDMMコミックレンタル!
人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】
人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】
ロリポップ!
ムームーサーバー
新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp
新品価格 |
ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |