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家族写真が教えてくれた“父の異変” 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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ある日、私は部屋の片隅に飾っている家族写真をぼんやり眺めていました。それは数年前、家族で旅行に行った時に撮ったもの。母、父、そして私――みんな笑顔で写っている写真です。日々の忙しさにかまけてあまり意識していなかったその写真を、ふと見たとき、私は奇妙なことに気がつきました。

父だけ色あせている?

写真全体はきれいな状態なのに、父の部分だけが少し色あせているのです。最初は「光の当たり方のせいかな」と思いました。写真立ては窓辺に置いてあったので、紫外線で退色したのだろうと、自分を納得させました。

しかし、数日後、再び写真を見たとき、その「色あせ」はさらに進んでいました。今度は父の顔が薄くなり、背景に溶け込むようにぼんやりしているのです。母や私の姿は鮮明なままなのに、父だけが写真から消えかけているように見えました。

不安と警告

その奇妙な光景に胸騒ぎを覚えた私は、思い切って父に電話をかけました。

「お父さん、最近体調どう? 何か悪いことが起きそうな気がするから、気を付けてね。」

すると、父は少し驚いた様子で笑い飛ばしました。

「何だよそれ。写真の色あせなんて気にしすぎだろう。元気にやってるよ。」

父の声はいつも通りで、元気そうでした。それでも、不安は拭えませんでした。

写真の変化が止まらない

それからも写真の父だけが色あせていく現象は止まりませんでした。最初は顔だけだった色あせが、服や体全体に広がり、今や写真の中で父が「透明な存在」に見えるほどでした。

私はいてもたってもいられず、再び父に電話をかけました。

「お願いだから、人間ドックを受けて!何かが本当におかしいの。何でもないならそれでいいから、念のため。」

電話越しの父は戸惑っていました。

「人間ドックなんて、まだまだ早いだろう。それに、どこも悪くないのに大げさだな。」

そう言いながらも、私の鬼気迫る声に押されてか、「まあ、わかったよ。そのうち考える」と渋々約束してくれました。

悪い予感が的中

数日後、父から電話がかかってきました。

「お前があまりにもしつこいから、冗談半分で人間ドックを受けたよ。そしたら……本当に悪いところが見つかった。」

詳しく聞くと、早期の癌が発見されたとのことでした。幸い進行はほとんどなく、手術と治療で完治する見込みがあるという話でした。電話越しの父の声は、驚きと感謝が入り混じったものでした。

「お前が写真のことなんて言わなかったら、こんな早い段階で気づけなかったよ。本当にありがとう。」

その言葉を聞いて、私はようやく胸を撫で下ろしました。

写真が元に戻る

父の治療が終わり、元気になった頃、あの家族写真をふと見ると、奇妙なことが起こっていました。

父の色あせていた部分が、まるで元通りになっていたのです。

まるで最初から何もなかったかのように、写真は鮮明な状態に戻っていました。

写真立てが教えてくれたもの

あれ以来、私は写真を見るたびに思います。あの「色あせ」は、私に何かを伝えようとした“サイン”だったのではないかと。スピリチュアルなことは信じない方でしたが、あの出来事以来、「身近なものが発するメッセージ」を無視してはいけないと感じるようになりました。

写真立てに込められた警告のおかげで、父の命は救われました。今ではその家族写真を新しい写真立てに入れ替え、家族の絆の象徴として部屋に飾っています。

もし、あなたの周りでも何か奇妙な現象が起こったら、それは何かを伝えようとする大切なサインかもしれません。



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