目次
引っ越し先での不気味な音
私がこの家に引っ越してきたのは、ちょうど1か月前だった。
築30年の一軒家。少し古いが、広い庭付きの物件だったため、手頃な値段もあり即決した。
最初の数日は快適に過ごしていた。しかし、ある日を境に、家の中で奇妙な音が聞こえるようになった。
夜中、寝室でウトウトしていると――
「コツ……コツ……」
床下から何かが叩かれるような音。最初は気のせいかと思ったが、毎晩同じ時間に聞こえる。
さらにはリビングでも、どこかから微かな足音のような音がするようになった。家には私一人しかいないのにだ。
「……気のせいじゃない。」
私は次第に、この家に対して得体の知れない不安を感じるようになった。
庭から出てきた箱
音の正体を突き止めたい気持ちが募り、私はある日、庭を調べることにした。
庭に出ると、一角だけ芝生の色が変わっている場所を見つけた。明らかに土の色が違う。
「もしかして……何か埋まってる?」
不安を感じつつも、シャベルを手に取り、掘り始めた。しばらくすると、金属の硬い感触が伝わってきた。
出てきたのは、古びた鉄の箱だった。錆びついていて、鍵がかかっている。しかし、力を込めると簡単に蓋が開いた。
中には、一通の手紙が入っていた。
手紙の内容
手紙は古びていたが、文字はまだ読み取れる状態だった。筆跡は丁寧で、内容はこう書かれていた。
「この家に住む人へ。
この音が聞こえるなら、私たちと同じ目に遭っているはずです。
私たちは、この家で何度も不気味な音を聞きました。最初は床下、次に天井、最後には壁の中です。音はどんどん近づいてきます。
どうか、地下室の扉を探してください。そこにすべての答えがあります。」
手紙には差出人の名前は書かれていなかったが、明らかにこの家の前の住人が残したものだとわかった。
「地下室の扉……?」
私は家の中を探し回った。すると、キッチンの隅に古いタイルの下に隠された扉を見つけた。
地下室の謎
扉を開けると、地下へ続く狭い階段があった。懐中電灯を手に持ち、私はゆっくりと下りていった。
地下室は狭い部屋で、埃と湿気の匂いが漂っていた。その中央に置かれていたのは――古びた椅子。
椅子には縄が巻かれた跡があり、周囲には古い写真や書類が散乱していた。
写真にはこの家の過去の住人と思われる家族が写っていたが、その中に一人だけ、顔が塗りつぶされた人物がいた。
「……何があったんだ?」
その瞬間、再び音が鳴り響いた。
「コツ……コツ……」
今度は地下室の壁からだ。
壁の中の正体
壁を調べると、薄い板の裏側に何かがあることに気づいた。恐る恐る板を外すと、中から一冊の日記が出てきた。
日記には、過去の住人が経験した出来事が記されていた。
「この家に住むと、夜な夜な聞こえる音。
その音の正体は、私たち家族を監視していた“誰か”だった。」
日記の最後は乱雑な文字でこう締めくくられていた。
「家を出るしかない。ここにはもういられない。」
家を離れる決断
それ以来、不気味な音はさらに頻繁になり、私の精神は限界に近づいていた。
「手紙に従って、この家を出よう。」
数日後、私は家を売り払い、新しい場所へ引っ越すことにした。
手紙の教訓
あの庭に埋められた手紙がなかったら、私は地下室を発見することも、この家の過去を知ることもなかっただろう。
そして、今でもふと考えることがある。次にこの家に住む人が、同じように庭に埋められた箱を掘り当てる日が来るのだろうか、と――。
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