これは、数年前に私が体験した奇妙で忘れられない出来事です。信じるかどうかはあなた次第ですが、あの夜見たバスは、今でも夢に出てくることがあります。
目次
いつもの帰り道での出来事
その日は、仕事で遅くなり、終電を逃してしまいました。タクシーに乗るほどのお金もなく、仕方なく少し歩いて始発を待つことにしました。夜の街は静まり返り、薄暗い街灯がかすかに足元を照らしていました。
歩き疲れた頃、ふと目の前にバス停が現れました。こんなところにバス停があっただろうか――いつも通勤で使う道なのに、見覚えがありません。立ち止まって見上げると、バス停には古びた木製の看板が立てかけられ、「○○行き」とだけ書かれています。
「○○」という地名は見たことがありませんでしたが、深夜の不安と疲労が重なり、私は「どこでもいいから乗せてくれれば」と思い、バスを待つことにしました。
不気味なバスの登場
しばらくすると、遠くからバスのエンジン音が聞こえてきました。ヘッドライトがぼんやりと揺れるように近づいてきます。
やがて目の前に止まったのは、古い型のバスでした。車体はくすんだ緑色で、窓には曇りガラスがはめ込まれており、中の様子はよく見えません。行き先表示は消えかけており、かすかに「○○行き」とだけ読めました。
扉が開くと、運転手が無言でこちらを見つめています。年齢不詳のその男性は、白い手袋をはめ、無表情なまま何も言いません。正直、不気味な雰囲気でしたが、疲れていた私はそのまま乗り込みました。
奇妙な車内
車内は薄暗く、どこかひんやりしていました。座席には数人の乗客が座っていましたが、皆うつむいており、顔が見えません。声をかける雰囲気でもなく、私は一番後ろの席に座りました。
バスが走り出すと、外の景色は次第に見慣れた街並みから、暗い林や霧のかかった道へと変わっていきました。
「ここ、どこだろう…?」
不安になり、運転手に声をかけようと立ち上がると、ふいに前方の座席に座っていた男性が振り返りました。その顔は、まるで写真のように平面的で、目はまばたきひとつしません。冷たい汗が背中を流れるのを感じながら、私は思わず席に戻りました。
終点の「○○」
やがて、バスは急に停車しました。運転手が振り返り、低い声で言いました。
「終点です。」
外を見ると、そこは薄暗い霧に包まれた見知らぬ場所。古びた木の看板には「○○停留所」と書かれています。乗客たちは次々と降りていきましたが、皆無言で、足音さえも聞こえません。
「私は…降りるべきなのか?」
そう迷っていると、運転手がこちらを見て再び言いました。
「ここがあなたの降りる場所です。」
目覚めた場所
私はバスを降り、霧の中に足を踏み入れました。どこか現実味がなく、まるで夢の中にいるような感覚でした。
次の瞬間、霧が晴れるとともに、私は自分の部屋のベッドに横たわっていました。目覚まし時計が鳴り響き、朝が来ていました。
「あれは夢だったのか…?」
胸ポケットに手を入れると、そこにはバスの乗車券が残されていました。「○○行き」と書かれた文字は、薄く消えかけていました。
その後の奇妙な出来事
それ以来、あのバス停を探して同じ道を何度も歩きましたが、見つけることはできませんでした。ただ、一つだけ奇妙なことがあります。あの夜以来、私は毎晩必ずバスのエンジン音を夢で聞くようになったのです。
もしあなたも深夜に見知らぬバス停を見つけたら――そこに乗るかどうかは慎重に考えてください。そのバスがどこへ連れて行くのか、誰も知りません。
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