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深夜に現れる不思議なラーメン屋――その一杯に隠された謎 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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深夜、帰宅途中に突然現れた見慣れないラーメン屋。
その一杯を食べた瞬間、奇妙な出来事が巻き起こる――。

そんな経験をしたことがありますか?
今回は、深夜に現れた不思議なラーメン屋にまつわるお話です。

突然現れた屋台

その日は終電を逃し、仕方なくタクシーを拾おうと駅前を歩いていました。

周囲の店はほとんど閉まっていて、人通りも少なく、どこか寂しい雰囲気が漂っています。ふと気づくと、目の前にポツンとラーメン屋の屋台がありました。

「こんなところにラーメン屋なんてあったっけ?」

気にはなりましたが、お腹も空いていたので自然と足が向きました。屋台の暖簾をくぐると、中には初老の店主がひとりで店を切り盛りしていました。

「いらっしゃい。何にする?」

メニューを見ると、選択肢は「ラーメン」ただ一つ。

「じゃあ、それで。」

注文を済ませると、店主は黙々と手際よくラーメンを作り始めました。

一杯のラーメンが引き起こす奇妙な体験

ラーメンが運ばれてくると、その見た目に少し驚きました。透明感のあるスープに浮かぶ具材――何の変哲もないように見えますが、どこか現実感がないのです。

一口スープをすすると、不思議な感覚が体を包みました。まるで体中にスープが染み渡るような感覚。麺をすすり、具材を口に運ぶたびに、目の前の風景がぼんやりと変わり始めます。

気づくと、店主以外に客が増えていました。最初は私一人だったはずなのに、いつの間にか屋台のカウンター席は満席です。

しかも、全員が黙ってラーメンを食べているだけ。誰も私に目を向けません。

不可解な客たち

ふと気になり、隣の客に声をかけようとしましたが、その瞬間、全身が硬直しました。

隣の男の顔が、異様にぼやけているのです。まるでモザイクがかかったかのような、輪郭のはっきりしない顔。

「……何なんだ、これ。」

さらに周囲を見渡すと、他の客たちも同じように顔がぼやけていました。唯一、はっきりとした顔をしているのは店主だけです。

店主の一言

「気にするな。みんな同じように、この一杯を必要としているだけだ。」

店主は淡々とした口調で言いました。

「ここに来たのも何かの縁だ。一杯食べ終えたら、帰りな。」

その言葉に促されるように、私は無言でラーメンを食べ続けました。不安を感じつつも、なぜか食べる手が止まりません。完食した瞬間、視界が一瞬真っ白になり――。

屋台が消えた夜

気づけば私は駅前の路上に立っていました。目の前には、先ほどまであったはずのラーメン屋の屋台はどこにもありません。

「……なんだったんだ、あれ。」

その後、いくら駅前を歩き回っても、そのラーメン屋を見つけることはできませんでした。

【まとめ】

深夜の街を歩くと、普段は目にしない光景に出会うことがあります。
今回のラーメン屋もその一つだったのかもしれません。

あなたももし、夜中に見慣れないラーメン屋を見かけたら、注意してみてください。もしかすると、そこには奇妙で不思議な体験が待っているかもしれません――。



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