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電車通学で見た「ホームの幽霊」 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

電車通学をしていると、見慣れた景色が当たり前になっていく。

しかし、いつもの駅のホームに、見てはいけないものが立っていたとしたら――。

第一章:ホームの隅

それに気づいたのは、通学を始めて数週間後のことだった。

いつも利用する駅のホーム。その隅に、何かがいるような気がした。

「……あれ?」

遠目に見ても、それが普通の人ではないと分かった。ぼんやりとした輪郭、無表情な顔、そして白っぽい服を着た痩せた人物。

立っているだけで何もしない。ただ、明らかに「人間」ではなかった。

第二章:気づかないふり

最初は見間違いかと思ったが、次の日も、その次の日も、幽霊は同じ場所に立っていた。

特に動くわけでもなく、何かをするわけでもない。ただ、じっと立っているだけ――その静けさがかえって不気味だった。

「気のせいだ、気にするな……。」

そう自分に言い聞かせ、視線をそらすようにしていたが、どうしても目の端に入ってしまう。

第三章:近づく気配

ある日、ふとした瞬間に気づいた。

幽霊が、少しだけこちらに近づいている気がしたのだ。

「え……?」

目を逸らしたつもりでも、いつの間にか視界の端に入ってくる。体が強張り、電車が到着するまでの時間が異常に長く感じられた。

同級生にそれとなく話してみたが、「疲れてるんじゃない?」と軽く流された。

第四章:目が合う瞬間

その日もいつものように通学電車を待っていた。

幽霊はホームの隅に立っている。いつもの光景――のはずだった。

しかし、その日は違った。幽霊が、確実にこちらを見ていたのだ。

「こっちを……見てる……?」

目をそらそうとしたが、なぜか視線が釘付けになり、動けなくなった。

次の瞬間、幽霊がゆっくりとこちらに向かって歩いてきた――ような気がした。

気づくと、幽霊と目が合っていた。

第五章:消えた幽霊

その瞬間、電車が到着する音が鳴り、ホームに風が吹き抜けた。

気がつくと、幽霊の姿はどこにもなかった。

「……消えた?」

それ以降、幽霊を見ることはなくなった。いつも不気味に立っていたホームの隅も、ただの空間に戻った。

しかし、その目と目が合った瞬間の感覚だけは、今でも鮮明に覚えている。

結末

幽霊が何を望んでいたのか、なぜ現れていたのかは分からない。ただ一つ確かなのは、目が合ったあの日を境に、私の通学風景は元に戻ったということだ。

もしあなたが駅のホームで不思議な気配を感じたら――視線を逸らすのがいいのか、それとも目を合わせるべきなのか……それはあなた次第だ。



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