私は6歳の息子を持つ母親です。息子は絵本が大好きで、毎晩「お話読んで!」とせがんできます。そんな息子のために、休日にはよく近所の本屋に絵本を探しに行くのが習慣になっていました。
ある日、いつものように息子と手を繋いで本屋を訪れた時、私は奇妙な絵本に出会いました。
目次
奇妙な絵本との出会い
息子が子供向けの棚を物色している間、私は別の棚を眺めていました。その時、背表紙に何も書かれていない一冊の絵本が目に入りました。
手に取ってみると、表紙には薄い灰色の背景に、子供のような絵で描かれた一軒の家がありました。その家の窓には、何かがこちらをじっと見ているような黒い影が描かれています。
タイトルはありません。しかし、なぜか目が離せず、私はその絵本を手に取ってしまいました。
不気味な内容
家に帰り、息子が寝る前の時間になりました。息子は新しい絵本を読むのを楽しみにしていたので、例の本を選びました。
ページを開くと、絵本の中身は単純なものでした。
1ページ目: 一軒の家の前に立つ男の子が描かれています。その下には短い文章がありました。
「お家に入ってもいいですか?」
2ページ目: 男の子が家の中に入ると、誰もいない部屋が描かれています。
「誰かいますか?」
3ページ目: 家の中を歩き回る男の子。その背後に黒い影が現れ始めます。
「遊びましょう。」
ページをめくるごとに、影が徐々に近づいてくる様子が描かれていました。その影は、どこか息子の輪郭に似ているような気がして、私は思わずページをめくる手を止めました。
「お母さん、早く続き読んで!」
息子の無邪気な声に押され、私は最後まで読み進めることにしました。
絵本の異変
最後のページを開くと、そこには真っ黒なページが広がっていました。何も描かれていません。しかし、その黒いページを見ていると、視線を吸い込まれるような感覚に陥りました。
「お母さん、これつまんないね!」
息子がそう言うと、私は我に返り、本を閉じました。
夜中の物音
その夜、私は物音で目を覚ましました。子供部屋から微かに聞こえる音――まるで誰かが絵本のページをめくるような音です。
「息子が一人で起きて本を読んでいるのかも」と思い、子供部屋に向かいました。
部屋に入ると、息子は布団の中で静かに眠っていました。しかし、その足元に置かれた絵本が勝手にページをめくっていたのです。
風もないのにページが一枚一枚めくられ、最後の真っ黒なページで止まりました。
私は恐怖で震えながら本を閉じ、リビングのゴミ箱に捨てました。
絵本が戻ってくる
翌日、息子が不機嫌そうに言いました。
「お母さん、絵本戻してよ。なんであれ捨てたの?」
「なんでそんなこと分かるの?」と問い返すと、息子はこう答えました。
「夜にね、黒い人が『読んで』って言ったの。」
その言葉に血の気が引きました。リビングに行くと、確かに捨てたはずの絵本がテーブルの上に置かれていました。
最後の決断
私はその絵本を持ち出し、近くの焼却場で燃やしました。それ以来、息子の周りで奇妙なことは起こらなくなりました。
しかし、今でも時々、本屋で背表紙に何も書かれていない絵本を目にすると、あの日の恐怖が蘇ります。あの絵本が何だったのか、そしてどこから来たのか――今も分かりません。
もし本屋で「無題」の絵本を見つけても、決して手を伸ばさないでください。その中に、何が潜んでいるかは誰にも分からないのです。
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