田中雄介は、倉庫の隅でまたしても異様な資料を発見した。封筒には「公衆電話の怪異現象に関する調査レポート」と記されており、中には数枚のタイプされた用紙が収められていた。レポートには「いわくつきの公衆電話」にまつわる奇妙な話が記録されているらしい。
雄介は少し躊躇しながらも、封筒を開けて中身を確認し始めた。
目次
調査レポート
調査対象:〇〇市△△公園の公衆電話
調査期間:平成8年5月1日~平成8年5月31日
調査者:T.K.(フリーライター)
背景
〇〇市の△△公園に設置されている公衆電話に関して、近年奇妙な噂が広がっている。この公衆電話は、設置当初は特に目立つ存在ではなかったが、ある時期から以下のような怪現象が報告されるようになった。
電話をかけようとすると恐ろしい声が聞こえる
電話を使用した後、幽霊を見たという目撃証言がある
受話器を取るだけで寒気を感じる
調査の目的は、これらの現象が実際に発生しているのか、またその原因を探ることである。
調査記録
(1) 公衆電話の概要
調査対象の公衆電話は、△△公園の北端に位置し、周囲には木々が生い茂っている。電話ボックスは古びており、窓ガラスには無数の傷や汚れが目立つ。内部には特に異常な点は見られないが、設置されている電話機も年代物であることが確認された。
(2) 目撃証言(抜粋)
証言1:30代男性
「深夜、△△公園を通りかかったとき、ふと電話ボックスが光っているのに気付いた。気になって近づいてみると、誰もいないのに受話器が宙に浮いて揺れていた。怖くなって逃げ出したが、翌日も同じ場所を通ったら電話ボックスに異様な寒気を感じた。」
証言2:20代女性
「友人と一緒に公園に行ったとき、怖い噂を試すつもりでその電話を使ってみた。番号をダイヤルする前に受話器を耳に当てた瞬間、低くて不気味な声が聞こえた。何を言っているのかは分からないけど、とにかく恐ろしくて、すぐに電話を置いて逃げた。」
証言3:50代女性
「その電話を使った後、帰り道で道端に立つ白い影を見た。その影はじっとこちらを見つめていて、どうにも動けなくなった。なんとか逃げ帰ったが、数日間、家でも視線を感じるような気がして不安だった。」
(3) 調査中の出来事
調査員自身も、電話ボックスを使用した際に奇妙な体験をした。
受話器を持ち上げた瞬間、低い声が電話口から聞こえてきた。「あ…う…」といった断片的な音で、言葉としては理解できないが、不安を煽る響きがあった。
電話をかけようとしたが、ダイヤルを回しても通話は成立せず、逆に耳元で「ガリガリ」と何かを擦るような音が聞こえてきた。
受話器を置こうとした瞬間、背後に視線を感じたが、振り返っても誰もいなかった。
考察
(1) 電話の来歴
調査中に判明した情報によれば、この公衆電話は数十年前に設置されたもので、設置当初は何ら問題はなかった。しかし、10年前にこの電話ボックス付近で事故が起きて以来、噂が広がるようになった。事故では若い男性が車に轢かれ、即死したとされている。
(2) 現象の原因
現象の原因は明確には解明されていないが、以下の可能性が考えられる。
心理的影響:電話ボックスの古さや周囲の環境が不安を煽り、幻覚や錯覚を引き起こしている。
物理的要因:電話機自体の老朽化により、音声が不明瞭になったり、機械的な異常音が発生している可能性がある。
心霊的要因:事故現場であることや、証言の多さから、心霊現象である可能性を排除できない。
結論
この調査では、噂として語られる怪異の全容を解明するには至らなかった。しかし、証言の一致性や調査中の現象から、この公衆電話に何らかの異常があることは否定できない。
特に、受話器を取った際の「声」や「音」に関する体験は複数の証言で共通しており、さらなる調査が必要とされる。
注意事項
夜間の利用は控えることを推奨。
使用中に異常を感じた場合は、すぐに受話器を戻し、電話ボックスから離れること。
読み終えて
田中雄介は、レポートを読み終え、封筒の中から数枚の写真を取り出した。それは問題の公衆電話を撮影したもので、夜間の電話ボックスが暗闇の中に浮かび上がるように写されていた。写真には特に異常な部分は見られなかったが、どこか不安を誘う雰囲気を持っていた。
「使わないに越したことはないな…」
雄介はそう呟きながら、レポートを「怪異に関連する書類」の棚に分類した。その後、次の封筒を手に取った。
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