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目覚めたら異世界、公衆電話が導く恐怖の真実 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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【プロローグ】

それは、いつもと変わらない夜だった。

私は仕事に追われ、疲れ果ててベッドに倒れ込むように眠りについた。目覚めたらまた日常が始まる――そう思っていた。

だが、次に目を覚ました時、そこは見知らぬ場所だった。

【異世界の朝】

目を開けると、私は薄暗い街路に立っていた。見上げると灰色の空が広がり、ビルや家々はどこか朽ち果てているように見えた。

「ここはどこだ…?」

見覚えのない街並み。人の気配はまったくなく、風だけが冷たく吹き抜ける。

私が立っていたのは小さな公園のような場所で、足元には枯れた草が広がり、公園の隅には一台の古びた公衆電話がぽつんと立っていた。

【公衆電話の不気味な存在感】

その公衆電話はどこか異様だった。ガラスにはひびが入り、受話器は汚れてボロボロになっている。それでも、なぜか妙に目を引いた。

「使えるのか…?」

試しに近づいてみると、電話のスピーカーから微かにノイズが聞こえた。受話器を取ると、耳元に何か囁くような音が届いた。

「戻りたいなら…出発点を探せ。」

突然の低い声に背筋が凍った。

「誰だ!?何の話だ!?」

声は返ってこず、ただノイズが続くだけだった。

【奇妙な指示】

困惑しながらも、公衆電話を離れて街を歩き始めた。

誰もいない街路は静まり返り、窓という窓が板で打ち付けられている。すべてが廃墟のようだ。

ふと視線を感じて振り返ると、遠くの建物の影に人のようなものが立っていた。だが、目を凝らすとその姿は消えてしまった。

「誰かいるのか?」

私は声を張り上げたが、返事はない。代わりに、背後の公衆電話が突然鳴り響いた。

【鳴り続ける電話】

電話の音は異様に大きく、耳を塞ぎたくなるほどだった。私は恐る恐る電話ボックスに戻り、再び受話器を取った。

「出発点は…あなたの罪。」

「罪…?何のことだ!」

声は途切れ、今度は異様に高い笑い声が響いた。思わず受話器を放り投げたが、笑い声は耳の中で響き続けた。

【「出発点」を探す】

その言葉の意味を理解しようと、街をさまよい続けた。

やがて一軒の建物に辿り着いた。そこは見覚えのあるコンビニのようだったが、店内には何もない。空っぽの棚が並ぶだけだった。

「ここ、俺の家の近くにあったコンビニに似てる…」

その瞬間、頭の中に過去の記憶がよみがえった。数年前、私はここで店員に声を荒らげ、理不尽に怒鳴り散らしたことがあった。

「罪…って、まさか…」

再び電話が鳴る音が聞こえた。音は遠くから響いているようで、私はその音を追いかけるように走り出した。

【すべてを思い出す】

電話の音に導かれるようにして辿り着いたのは、私が昔住んでいたアパートだった。

部屋に入ると、中には当時のままの家具が置かれていた。そして、机の上には一台の電話があった。

「これが…出発点?」

電話の受話器を取ると、再びあの低い声が囁いた。

「過去を直すことができれば、戻れるだろう。」

その言葉と同時に、部屋全体が揺れ始め、私は意識を失った。

【現実への帰還】

気がつくと、私は自分のベッドに横たわっていた。

「…夢だったのか?」

時計を見ると、朝の7時。いつもの時間だった。だが、胸には不安が残っていた。

その日、仕事の帰り道にふと公園の前を通りかかると、そこにはあの古びた公衆電話があった。

怖くなり、急いでその場を離れたが、背後から聞こえてきた電話の音が今でも耳に残っている。

【エピローグ】

もし、あなたが見知らぬ場所でいわくつきの公衆電話を見つけたら、決して受話器を取ってはいけません。それが、過去の自分を問うための扉である可能性があるのですから――。



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