「入院中に出会った少年、あなたなら覚えていますか? でも、その少年が最初からいなかったとしたら――」
目次
入院したあの日
私は小学4年生の頃に、風邪をこじらせて1週間ほど入院することになりました。
病室は二人部屋で、隣のベッドには自分と同じくらいの年齢の男の子がいました。ちょっとシャイな雰囲気の彼でしたが、話してみるとすぐに打ち解けました。
仲良くなった同室の少年
彼の名前は「カズキ君」。
「体調悪くてずっと寝てたけど、今日はやっとゲームできそうだ。」
彼はそう言って、小さな将棋セットを取り出しました。ボードゲームは大好きだったので、私はすぐに一緒に遊ぶことにしました。
それからというもの、私たちは病室で暇を持て余すたびにゲームをしたり、おしゃべりをしたりして時間を潰していました。
ただ、一つだけ気になることがありました。
カズキ君は、私が話す「ポケモン」や「スイッチ」の話題に全くついてこられないのです。それどころか、彼が話すのはどれも聞いたことがないようなテレビ番組や昔からあるゲームの話ばかり。
「もしかして、すごく昔のゲームやテレビが好きなのかな?」
そんな風に思いながらも、気にせず楽しい時間を過ごしていました。
退院の日の異変
1週間後、退院の日が来ました。
「カズキ君、今日でお別れだね。元気でね!」
そう言って隣のベッドに行くと、カズキ君の姿がありませんでした。布団は整えられ、ベッドは空っぽでした。
不思議に思って看護師さんに尋ねると――
「この部屋には最初から君一人だけだったけど?」
そんなはずはない!一緒にゲームをしたし、話もした。それなのに、看護師さんも、他のスタッフも「この部屋には君一人だけだった」と言います。
思い出の中のカズキ君
家に帰ってからも、私はカズキ君のことが忘れられませんでした。
一緒に遊んだ将棋セットの手触りや、笑い声、そして彼が話していた昔のテレビ番組の話――それらが全て夢だったとはどうしても思えなかったのです。
今でも時々、彼との思い出を思い返します。そしてふと考えるのです。
「カズキ君は、もしかしたらこの病院に縁のあった誰かだったのかもしれない。」
例えば、過去にこの病院で入院していた子供の記憶が、偶然私に触れたのではないか、と。
彼が消えた理由は未だに分かりませんが、病室で過ごしたあの日々は確かに存在しました。
【まとめ】
入院中の病室で、あなたは誰と時間を過ごしましたか?
もし記憶に曖昧な部分があるとしたら、それは本当に現実だったのでしょうか――
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