目次
【プロローグ】
今年のお正月、私は珍しくひとりで過ごすことになった。
実家にも帰らず、友人たちとも予定が合わなかったため、自宅でのんびりと過ごそうと思っていた。テレビで新年の特番を観たり、おせち代わりのカップ麺を食べたりして、特に特別なことは何もない静かな元日だった。
しかし、深夜に起きた出来事が、私の心に一生消えない恐怖を刻み込むことになる。
【異変の始まり】
元日の夜、時計が0時を過ぎた頃。
ソファに横になり、うとうとし始めていた時だった。突然、窓の外から微かな音が聞こえた。
「カリ…カリ…」
最初は風の音かと思ったが、耳を澄ますとそれが窓ガラスを爪で引っ掻くような音だと気づいた。
「風のせいだよな…」
そう自分に言い聞かせ、窓を見に行くと、外には誰もいなかった。だが、ガラスには薄っすらと指のような跡がついていた。
【部屋の中の違和感】
その後も気にせず、再びソファで横になった。すると、今度は部屋の隅から気配を感じた。
薄暗い照明の中、視線を感じて振り返ると、そこには誰もいない――はずだった。しかし、視界の端で何かが動いたように感じた。
「気のせいだ。」
そう思おうとした瞬間、ふとテレビが勝手に消えた。
【鏡に映る影】
部屋が静寂に包まれる中、目の前にある姿見に目が留まった。
その鏡には、自分の後ろに立つ"何か"が映っていた。それは人間の形をしているが、輪郭がぼやけていて顔は見えない。
私は息を呑み、振り返った。しかし、そこには誰もいない。再び鏡を見ると、その影も消えていた。
【謎の声】
その瞬間、背後から低い声が聞こえた。
「今年も、ひとりか…」
振り向くと、部屋には誰もいない。ただ、その声の主がすぐ近くにいる気配だけが残っていた。
【恐怖の頂点】
恐怖で動けなくなった私が、必死にスマホを手に取り、友人に電話をかけようとした。その時、スマホの画面が突然真っ黒になり、そこに文字が浮かび上がった。
「ひとりで過ごす理由を思い出せ。」
その言葉を見た瞬間、記憶の奥からある出来事が蘇った。
数年前、私はお正月に友人との約束をドタキャンし、彼らを疎遠にさせてしまったことがあった。その後も人付き合いを避け続けた結果、今の孤独な生活があるのだ。
【影の正体】
私は震える手でスマホを置き、部屋中を見渡した。すると、再び鏡に影が映った。
その影は徐々に私に近づき、こう囁いた。
「自分が選んだ孤独だ…忘れるな。」
次の瞬間、意識が遠のき、気づけば朝になっていた。
【エピローグ】
その日以降、部屋でひとり過ごしていると、時折あの影を感じることがある。
お正月が来るたびに、その影が私にこう告げるのだ。
「またひとりだ。」
もし、あなたがお正月をひとりで過ごすなら――その孤独が、何を意味しているのか一度振り返ってみるべきかもしれない。
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