目次
一人暮らしの部屋
私は一人暮らしをしている。仕事の関係で引っ越したばかりのこの部屋は、少し古いが家賃が安く、周囲も静かで気に入っていた。
しかし、静かすぎる夜になると、時折胸が締め付けられるような孤独感に襲われる。テレビをつけても、部屋の中は冷たい空気で満たされているように感じることがあった。
「まあ、慣れれば平気だろう。」
そう思いながら、私はこの部屋での生活を始めた。
違和感の始まり
ある晩、仕事を終えて帰宅すると、妙な違和感を覚えた。
玄関を開けると、部屋の中に漂う空気がいつもと違う。誰もいるはずがないのに、まるで他人の気配が残っているような感じだった。
「……気のせいか。」
疲れているせいだろうと自分に言い聞かせ、シャワーを浴びてベッドに入った。
奇妙な音
その夜、寝ていると部屋の奥から小さな音が聞こえた。
「コト……コト……」
何かがテーブルの上で動いているような音だった。
「風で何かが倒れたかな?」
私は意を決してリビングへ向かったが、部屋の中には何も異常がない。窓も閉まっているし、家具も動いていない。ただ、テーブルの上に置いていたコップの位置が少しだけ変わっている気がした。
「気のせいだ……そうに違いない。」
繰り返される現象
それからというもの、部屋で奇妙な現象が頻繁に起こるようになった。
リビングに置いていたリモコンが床に落ちている、洗面所の鏡が曇っている、キッチンに置いた食器が微妙に移動している――。
そして、極めつけはある夜のことだった。
書き置き
疲れて帰宅すると、テーブルの上に見覚えのない紙が置いてあった。
そこには、こう書かれていた。
「ここにいるよ。一人じゃないよ。」
鳥肌が立ち、心臓がバクバクと音を立てた。
「誰がこんなことを……?」
鍵をかけているのに侵入されたのかと思い、警察に相談しようか迷ったが、部屋には荒らされた形跡もなく、他に手がかりもない。
記憶の片隅から
その夜、眠れずに部屋の中をウロウロしていると、ふと幼い頃の記憶がよみがえった。
それは、幼少期に遊んでいた一人遊びの記憶だった。周囲に友達がいなかった私は、よく「見えない友達」と話していたことを思い出したのだ。
その時の「友達」と名乗る存在が、まるで今、この部屋に戻ってきたかのような感覚に襲われた。
最後のメッセージ
翌日、部屋を掃除していると、またテーブルの上に紙が置かれていた。
「寂しくなくなったら、出ていくね。」
その日を境に、部屋での奇妙な現象は一切なくなった。
孤独だった私が、自分の心を整理して少しだけ前向きになれた頃、それを見計らったように静けさが戻ったのだ。
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