目次
【プロローグ】
私は孤独が好きだ。
両親は私が若い頃に亡くなり、親戚もいない。友人を作る気もなく、ただ一人で過ごす生活が心地よかった。
毎日、質素な自炊をし、近所を散歩するのが日課だった。人混みや騒がしい場所を避け、一人の静かな時間に価値を感じていた。
そんな私が住む家は、住宅街の端にある小さな一軒家だ。隣には、同じように古びた家が一軒あったが、そこに人が住んでいる様子はなかった。
【隣の家の異変】
ある日の散歩帰り、ふと隣の家の玄関に目を留めた。
いつも閉じたままだった玄関の扉が、少しだけ開いていたのだ。
「住んでいる人がいるのか?」
興味はあったが、立ち入るのは失礼だと思い、そのまま自分の家に戻った。
その夜、読書をしていると窓の外からかすかな音が聞こえてきた。
「コツ…コツ…」
隣の家の方向から何かが動く音だった。
【初めての訪問】
翌日、散歩の途中で隣の家に目を向けると、窓にカーテンがかかっているのが見えた。
それまではガラス越しに中の家具が見えていたはずだが、突然カーテンが取り付けられたのだ。
「人が住み始めたのかもしれない。」
そう思った私は、ちょっとした挨拶をするべきか悩んだ。しかし、孤独を愛する性格がそれを躊躇させた。
だが、玄関先に古びた郵便物が散らばっているのが気になり、意を決してチャイムを鳴らしてみることにした。
【誰もいない家】
チャイムを押しても応答はなかった。
「やっぱり、誰もいないのか…。」
そう思って引き返そうとした時、玄関の扉がゆっくりと音を立てて開いた。
「こんにちは、どなたかいますか?」
声をかけても返事はない。
恐る恐る中を覗くと、古びた家具や埃っぽい空気が漂っていた。だが、そこには人が住んでいる気配は全くなかった。
【奇妙な気配】
その夜、私は寝る前に隣の家を窓から見た。
すると、誰もいないはずの家の2階の窓に明かりが灯っているのを見つけた。
「誰かいる…?」
その光景に少し胸騒ぎを覚えたが、特に気にせず布団に入った。
深夜、ふと目が覚めると、何か視線を感じた。窓越しに隣の家を見てみると、2階の明かりは消えていたが、玄関先に人影のようなものが立っているのが見えた。
【不思議な手紙】
翌朝、郵便受けを確認すると、隣の家のポストから出てきたらしい一通の手紙が私の家に入っていた。
それは古びた紙に、こう書かれていた。
「あなたもこちら側に来ませんか?」
その文面にゾッとし、隣の家を見ると、今度は玄関が完全に閉ざされていた。
【隣人のない家】
その後、隣の家を訪れることはなかった。2階の明かりも、奇妙な音も、もう聞こえることはなくなった。
だが、それ以来、散歩をしていると周囲の家々から「こちらを見ている気配」を感じることがある。
孤独を愛する私にとって、それは何よりも奇妙な感覚だった。
【エピローグ】
隣の家に人が住んでいたのか、それとも何か別の存在だったのか――その真相は分からない。
孤独を愛していると自覚する人こそ、その孤独の影に潜む「何か」に注意を払うべきなのかもしれない。あなたの隣の家にも、もしかしたら…。
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