私が体験した、信じられないほど恐ろしい出来事を話します。それは、ある夜、いつものように布団に入ったところから始まりました。
目次
違和感のある部屋
その夜、私はいつものように布団に入り、ぐっすりと眠りにつきました。どれくらい眠ったのか分かりませんが、突然目が覚めました。部屋は真っ暗で静まり返っているはずなのに、妙な違和感を覚えました。
空気が重い。いつもと同じ部屋のはずなのに、どこか異様に感じる。天井を見上げようとしても視線が重く、体を起こすことすら困難でした。
そんな時、ふと耳元で微かな囁き声が聞こえました。
「……後ろを見ないで。」
私は凍りつきました。部屋には誰もいるはずがないのに、確かに誰かの声がしました。それは低く冷たい声で、けれど、どこか自分自身の声のようにも思えたのです。
後ろに何かがいる
私は恐怖で体を動かせず、布団の中で固まりました。すると、視界の端にぼんやりと影のようなものが見えました。それはゆっくりと、しかし確実に近づいてきているようでした。
「後ろを振り返らなければ大丈夫。絶対に振り返らないで。」
耳元の声は続けざまに警告してきます。しかし、その声とは裏腹に、背後の影の気配がどんどん濃くなり、冷たい風のような感覚が首筋に触れるようになりました。
耐え切れず、私は声を振り絞りました。
「誰!? 誰なの!?」
しかし、部屋の中には返事もなく、ただその冷たい気配だけが漂っていました。
奇妙な風景
恐怖のあまり、私は体を起こそうとしました。そして気づいた時には、布団の中ではなく、見知らぬ場所に立っていました。
そこは廃墟のような建物の中でした。ひび割れた壁、割れた窓、そして古びた家具が散乱していました。足元には埃が舞い、どこからか水が滴る音が響いています。
「ここは……どこ?」
訳が分からず辺りを見回していると、先ほどの耳元の声が再び聞こえました。
「絶対に振り返らないで。この場所から出る方法を探して。」
終わりのない廃墟
私は言われるがまま、建物の出口を探して歩きました。歩けば歩くほど、奇妙なことに気づきました。同じような部屋が何度も続いているのです。壁にかかった絵画、倒れた椅子、窓から見える外の景色――全てが同じ。
「これ、出口なんてないのかも……」
そう思った時、背後から何かの足音が聞こえました。それは明らかに人間のものではない、不規則な音でした。
振り返りたい衝動
足音は次第に大きくなり、私のすぐ背後に迫っているように感じました。汗が額から滴り落ち、心臓が激しく鼓動します。
「振り返らないで……絶対に振り返らないで……」
耳元の声はそう繰り返しますが、私はその声に抗えなくなっていました。一体何が背後にいるのか――それを確認したい衝動が、恐怖に打ち勝とうとしていました。
そして私は、声の警告を振り切り、ついに振り返ってしまいました。
衝撃の結末
その瞬間、目の前にあったのは――自分自身でした。
真っ黒な目をした、まるで鏡に映ったような自分自身が、歪んだ笑みを浮かべて立っていました。そして、その口がこう呟きました。
「……ようやく気づいたね。」
次の瞬間、私は叫び声を上げ、全身が引き裂かれるような感覚に包まれました。
目覚め
叫び声とともに、私は布団の中で目を覚ましました。部屋は薄暗く、窓からは朝の光が差し込んでいました。全身が汗でびっしょり濡れており、喉が焼けつくように乾いていました。
「……夢、だったのか。」
恐る恐る後ろを振り返ると、そこには何もありませんでした。
しかし、私の腕には、不気味な赤い指の跡がくっきりと残されていました。
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