目次
プロローグ
私は「アビス」というエナジードリンクが大好きだった。
キリッとした苦みとほんのり甘い後味が特徴的で、仕事や勉強の合間に欠かせない存在だった。
しかし、ある日突然その「アビス」が販売終了になったというニュースを見た。
第一章:愛飲していた「アビス」
アビスを飲み始めたのは数年前のことだった。
その頃、仕事に追われる日々で、睡眠時間は常に削られていた。コンビニで見つけたアビスを試しに飲んだ瞬間、体がシャキッとし、独特の味にすぐ虜になった。
「これがあるから頑張れる。」
そう思いながら、毎日のようにアビスを飲み続けた。
第二章:突然の販売終了
しかし、その日を境に私の習慣は崩れた。
コンビニでアビスを手に取ろうとすると、棚が空っぽだった。店員に尋ねると、こう言われた。
「アビスですか? それ、先週で販売終了になりましたよ。」
「え……販売終了?」
驚きとショックで、その場に立ち尽くした。
第三章:執念の捜索
どうしてもアビスを諦めきれなかった私は、他の店舗を探し回った。
スーパー、ドラッグストア、自販機……どこにも置いていない。
ネット通販をチェックすると、既にプレミア価格がついており、手が出せる金額ではなかった。
「そんなに飲みたきゃ別のエナジードリンクでいいじゃないか。」
そう言う同僚の言葉も耳に入らなかった。
アビスじゃないとダメなんだ――そんな奇妙な執念が自分を突き動かしていた。
第四章:謎の自販機
ある日の帰り道、普段通らない路地を歩いていると、一台の古びた自販機を見つけた。
赤錆びた外装に、薄暗い蛍光灯が点滅しているその自販機は、今どき見かけないような骨董品だった。
試しにラインナップを見てみると――そこに「アビス」があった。
「嘘だろ……。」
半信半疑でボタンを押し、小銭を投入すると、カタンという音と共に缶が出てきた。
手に取った缶は確かに「アビス」。製造日を見ると、なぜか今日の日付が印刷されていた。
「これ、本当に飲んで大丈夫か?」
そう思いながらも、誘惑には勝てず、私はその場で一口飲んだ。
第五章:広がる異世界
口に含んだ瞬間、あの懐かしい味が広がった。
「これだ……これだよ……!」
しかし、次の瞬間、視界がぐらりと歪んだ。
気づくと、私は全く知らない場所に立っていた。
周囲は薄暗く、見渡す限り灰色の空。建物も人の姿もなく、風が静かに吹き抜けていた。
「ここ……どこだ?」
恐る恐る歩き出すと、地面にアビスの空き缶が無数に転がっているのが目に入った。
第六章:出会い
やがて、一人の男が現れた。
その男は私と同じアビスの缶を手に持ち、ぼんやりと地面を見つめていた。
「あなたも……ここに来たんですか?」
声をかけると、男は振り返り、かすかな笑みを浮かべた。
「ようこそ、アビスの世界へ。」
男の話によると、ここは「アビス」を愛飲していた人間が迷い込む世界だという。
「俺も最初はあんたと同じだった。気づいたらここに来ていて、もう何年経ったか分からない。」
第七章:戻る方法
男に問いかけても、ここから戻る方法は分からないという。
「一つだけ言えるのは、あの自販機でアビスを飲んだ人間しかここに来られない。」
その言葉を聞き、私は冷たい汗が背筋を伝った。
結末:目覚め
次の瞬間、目の前が真っ白になり、気づけば自宅のベッドに横たわっていた。
「あれは……夢?」
机の上には、あの「アビス」の空き缶が置かれていた。
もう一度自販機を探しに行こうかと考えたが、それ以降、その路地にあの自販機が現れることはなかった。
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