目次
【プロローグ】
私は72歳。長い人生を振り返ると、体力の衰えを感じることが増えた。
最近では足腰がすっかり弱り、よく転ぶようになった。
「年だな…」
一人暮らしの身には少し心細いが、近所の散歩が唯一の楽しみだった。それでも、散歩中に足がもつれて転びそうになることが増え、最近では外に出ることすら億劫になっていた。
だが、あの「奇妙な出来事」を体験してから、私は自分の足腰に隠された秘密を知ることになる。
【転倒の理由】
その日もいつものように、近所の遊歩道を歩いていた。
足元がふらつくのを感じながら、「このままでは転んでしまう」と思った瞬間、案の定つまずき、地面に倒れ込んだ。
「大丈夫ですか?」
通りかかった若者が手を貸してくれた。
「ありがとう、すぐに立てるよ。」
そう言って立ち上がろうとしたが、体のバランスが取れず、再び地面に倒れてしまった。
「やれやれ、これじゃ外にも出られん…」
その時、ふと足元に目をやると、地面に妙な模様が浮かび上がっていることに気づいた。
【不思議な模様】
それは、私が転んだ場所の地面に刻まれているようだった。
渦巻き状の模様で、どこか人工的に見えるが、そんなものが近所の遊歩道にあった記憶はない。
「何だこれは…?」
不思議に思いながらも、その場では特に気にせず家に戻ることにした。
しかし、その日以来、転ぶたびに同じような模様が地面に浮かび上がるのを見るようになった。
【奇妙な力】
模様はただの偶然だと思っていたが、ある日、それが偶然ではないことに気づいた。
庭の雑草を抜こうとして腰を曲げた瞬間、バランスを崩して地面に倒れ込んだ。すると、またあの渦巻き状の模様が地面に現れたのだ。
「またか…」
何気なく手をその模様に触れると、不思議な感覚が走った。体が急に軽くなり、さっきまでの腰の痛みが消えていたのだ。
「これは一体…?」
【模様の謎】
その後、転ぶたびに模様に触れると、体のどこかが楽になることに気づいた。
腰の痛み、膝の違和感、足の疲れ…。まるで模様がそれらを吸い取ってくれるようだった。
「これが私の足腰の弱さと関係しているのか…?」
私はますます散歩に出かけるようになり、わざと転んで模様を探すようになった。
【訪れる影】
ある日、散歩中にまた模様を見つけ、そこに手を置いていた時のことだ。
ふと視線を感じて振り返ると、遠くに黒い人影が立っていた。
それは人間のような形をしているが、顔がよく見えない。影はじっとこちらを見つめているようだった。
「誰だ?」
声をかけても返事はなく、気づいた時には影は消えていた。
【模様の代償】
模様に触れるたびに体調が良くなる一方で、奇妙な出来事も増えていった。
夜中に家の中で物音がしたり、鏡に映る自分の姿が一瞬だけ違って見えたりすることがあった。
そして、ついに夢の中にあの黒い影が現れた。
「模様は力を与えるが、代償を払え。」
低い声が響き渡り、私は目を覚ました。
【最後の転倒】
次の日、散歩中にまた転んだ。
地面に手をつくと、今まで見たことのないほど大きな模様が現れた。渦巻きが幾重にも重なり、その中心には何かがうごめいているようだった。
恐る恐る手を置くと、体中が熱くなり、まるで若返ったような感覚を覚えた。しかし、その瞬間、頭の中に言葉が響いた。
「力を得るたび、何かを失う。」
【エピローグ】
それ以来、模様は現れなくなり、体調は以前より良くなった。
だが、家の中で鏡を見るたびに、かすかに自分の顔が誰かに似ている気がすることがある。それが誰なのか、思い出せないのが不思議でならない。
もし、あなたが足腰の弱さに悩んでいて、不思議な模様を見つけたら――その力を使うかどうか、慎重に考えるべきだろう。それには、必ず代償が伴うのだから。
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