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50%の確率で起こる呪い 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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奇妙な噂

会社の同僚から聞いた話だ。

「なあ、最近ネットで話題になってる“50%の呪い”って知ってるか?」

話を聞くと、その呪いはとても単純なルールで成り立っているという。

呪いの対象者は、何をするにも50%の確率で“良いこと”と“悪いこと”のどちらかが起きる。
その効果は最初は軽いものだが、時間が経つごとにエスカレートする。
最後には、その人の命に関わる重大な選択で50%が訪れる。
「ネットでふざけて始めた都市伝説らしいけど、最近、本当に呪われたって話が増えてるんだ。」

最初は笑い話として聞き流していたが、同僚の顔はどこか真剣だった。

呪いの始まり

その夜、帰宅した私はなんとなくその「50%の呪い」について検索してみた。

掲示板やSNSには、呪いに遭ったという人々の体験談が溢れていた。

「50%の確率で財布をなくした。」
「食事をするたびに50%の確率で体調を崩す。」
「次第に確率が命に関わるものになっていく。」
ただの噂だと笑い飛ばそうとしたが、ふとした興味から呪いの儀式を試してみた。

「この呪い、本当に信じる奴いるのかよ。」

呪いのやり方は簡単だった。特定の画像をスマホに保存し、その画像を3日間削除せずに放置するだけ。

何も起こらないだろうと思っていた。

最初の違和感

3日後、呪いのことなどすっかり忘れたころ、最初の“50%”が訪れた。

朝の通勤途中、定期券を改札に通そうとしたが反応しない。仕方なく改札を通れないまま係員に説明したが、改めて定期券を見ると何事もなく使える状態に戻っていた。

「こんなこともあるか。」

しかし、その日から、些細な出来事が頻繁に起きるようになった。

スマホの電源が突然切れる。
仕事のデータが消える。
鍵が見つからない。
これらはすべて“50%の確率”で起きているようだった。

悪化する呪い

日を追うごとに、50%の出来事はエスカレートしていった。

朝の通勤時、信号が青になるか赤になるか50%の確率で変わり、危うく車に轢かれそうになったこともあった。

「これ、本当に呪いなのか……?」

気づけば、日常の選択がすべて怖くなっていた。ドアを開ける、階段を降りる、食事をする――どれも50%の確率で何か悪いことが起きる可能性がある。

最後の選択

そんな状態が続くある日、私はとある十字路に立っていた。

目の前には左右に分かれる道。どちらを選ぶかで、自分の命運が決まるような気がしてならなかった。

「右か、左か……50%か。」

震える手でスマホを取り出し、ネットで見た呪いの画像を削除しようとしたが、手が止まる。

「削除したところで、本当にこれが終わるのか?」

結局、削除することはできず、私は右の道を選んだ。

結末

道を進むと、突然目の前に車が突っ込んできた。

「やっぱりダメだったのか……!」

その瞬間、目の前が真っ暗になった――。

気がつくと私は病院のベッドにいた。命に別状はなかったものの、運が悪ければ即死だったと言われた。

その後、呪いの影響は次第に薄れていき、やがて何も起きなくなった。しかし、私は今でもあの50%の恐怖を忘れることができない。



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