目次
【プロローグ】
私は、フリーランスとしてクラウドソーシングで仕事を受ける生活をしている。
特に目立ったスキルがあるわけではないが、記事作成やデータ入力など、比較的単純な仕事を淡々とこなしている。
平凡な日々。けれど、それなりに満足していた。
ある日、私は普段のようにクラウドソーシングのプラットフォームをチェックしていると、奇妙な案件が目に留まった。
「文字解析のお仕事:1文字10円、約10,000文字の作業で報酬100,000円」
「高額案件だな…。」
内容は、指定された文字列をファイルに写し、その文字が何を意味しているかを自由に考察するというもの。私は怪しいと思いつつも、金額の魅力に惹かれ、応募してしまった。
【仕事の開始】
数時間後、採用通知が届いた。依頼主は「LIONWORKS」という名前で、詳細はメッセージで送られてきた。
「こちらが解析対象の文字列です。」
添付ファイルを開くと、そこには見たことのない文字が並んでいた。
アルファベットや数字に似ているが、微妙に違う。どこか古代文字のような雰囲気を漂わせていた。
「何だ、これ…?」
最初は文字をただ写していくだけだったが、作業を進めるうちに、私は妙な違和感を覚え始めた。
【奇妙な違和感】
その文字を見ていると、頭の中で意味が浮かび上がってくるような感覚に襲われたのだ。
たとえば、「@のような記号」に「三角形を含む文字列」が続く部分を写していると、なぜか「門を開け」という言葉が頭に浮かぶ。
もちろん、文字列には日本語も英語も含まれていない。それなのに、自然に意味が理解できる気がする。
「気のせいか…?」
最初はそう思って作業を進めていたが、次第にその感覚が強くなり、文字列を写しているだけで頭がぼんやりしてくるようになった。
【不思議なメッセージ】
2日目、作業に取り掛かると、依頼主からのメッセージが届いた。
「進捗状況はいかがですか?作業が進むにつれて、何か感じることがあるかもしれません。」
「感じること…?」
曖昧な表現に戸惑いながらも、「特に問題なく進んでいます」と返信した。すると、依頼主から再びメッセージが届いた。
「あなたは、この文字列を読む資格を持っています。」
資格…?何を言っているのか分からなかったが、気味が悪い反面、どこか引き込まれるような気持ちもあった。
【異世界からの仕事かもしれない】
3日目。作業中、私はある文字列を写していた時に、明らかな異変を感じた。
その文字をじっと見つめていると、頭の中に鮮明な映像が浮かんできた。
それは見たこともない街並み――空には2つの太陽が輝き、建物は歪な形をしていた。人々の姿も、どこか人間離れしている。
「これって…夢?」
文字を写し続けるうちに、その映像はさらに鮮明になり、まるで自分がその世界に立っているような感覚になった。
その時、依頼主から新たなメッセージが届いた。
「その世界が見えましたね?」
私は驚きのあまり手が止まった。まさか、私が体験していることを見透かされているのか?
【最後の指示】
依頼の最終日、私は依頼主から最後の指示を受けた。
「この文字列を最後まで写し終えたら、必ず深呼吸をしてください。そして、頭に浮かんだ言葉を教えてください。」
指示通りに作業を進め、最後の文字を写し終えた瞬間、再び頭の中に言葉が響いた。
「門は開かれた。」
その直後、部屋の空気が一変した。耳鳴りのような音が聞こえ、視界が一瞬真っ暗になったかと思うと、再びあの異世界の光景が広がった。
私は立ち尽くし、目の前に現れた光の柱に向かって手を伸ばしていた。
【作業完了と報酬】
気づくと、私は自分の部屋に戻っていた。時計を見ると、ほんの数分しか経っていない。
すべてが夢のようだったが、クラウドソーシングのプラットフォームを確認すると、報酬10万円が確かに振り込まれていた。
依頼主からのメッセージにはこう書かれていた。
「仕事お疲れ様でした。あなたのおかげで、扉は無事開かれました。」
「扉…?一体何を意味しているんだ?」
すべての謎は解けないままだが、あの異世界の光景と依頼主の言葉が、今でも頭から離れない。
【エピローグ】
それ以来、私は高額な奇妙な案件には手を出さないようにしている。だが、もしまたあの世界に足を踏み入れる機会があるなら――少しだけ好奇心が疼く自分がいる。
もし、クラウドソーシングで奇妙な依頼を見つけたら――それはあなたを異世界へ導く扉かもしれない。
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