目次
奇妙な高額案件
ある日の夜、私はいつものようにクラウドソーシングサイトで仕事を探していた。
普段はライティングや簡単なデータ入力などをこなしているが、その日は妙に目を引く案件があった。
「【高額報酬】特別な調査を依頼します――50万円」
内容は不明瞭だったが、ただ一言、こう書かれていた。
「異世界での調査をお願いしたい。興味があれば詳細をお伝えします。」
「異世界?冗談だろう。」
最初はスルーしようと思ったが、報酬額の高さについ惹かれ、思い切って応募してみることにした。
指定された条件
応募してから数時間後、クライアントから返信が来た。
「応募ありがとうございます。調査の詳細をお伝えします。」
メールには、驚くべき内容が記されていた。
「指定された日時に自宅近くの○○公園にある大きなケヤキの木の下へ行ってください。そこが調査の入り口となります。」
異世界という言葉に半信半疑だったが、指定された日時はちょうど翌日。興味本位もあり、私はその依頼を受けることにした。
公園での異変
指定された日時、夜の8時に○○公園へ向かった。人影も少なく、風がやけに冷たい。
クライアントが指定したケヤキの木の下に立つと、周囲が妙に静まり返っていることに気づいた。虫の音も聞こえず、空気が張り詰めているような感覚だった。
その瞬間――。
視界が一瞬暗くなり、足元が吸い込まれるような感覚に襲われた。
異世界への到着
気づくと、私は見知らぬ街に立っていた。
不思議なことに、街並みは普段の生活で見ているものと大差なかった。コンビニやカフェ、アパートが並び、人々も普通に行き交っている。ただ、何かが違う。それは、街全体に漂う独特な静けさだった。
「ここが……異世界?」
指定されていた調査内容は、「この世界の住人とのコミュニケーションを試み、情報を収集すること」だった。
街を歩いてみると、住人たちは皆どこか無表情で、話しかけても一言二言しか返してこない。言葉の響きは現実と同じなのに、なぜか心が通じていない感覚があった。
不思議な発見
街を歩き回るうちに、一軒のカフェに入った。メニューも現実世界と同じように見えたが、何かが妙に違う。
例えば、コーヒーの香りがやけに甘く、飲むと頭がクリアになるような感覚がしたり、窓の外の風景が微妙にゆがんで見えたり。
「ここ、本当に異世界なのかもしれない。」
しばらく調査を続けたが、住人たちとの会話から得られる情報は少なかった。ただ、彼らは繰り返しこう言った。
「ここでの時間はあなたに何かを残すでしょう。」
異世界からの帰還
調査を終え、再び指定されたケヤキの木の下に戻ると、視界が一瞬真っ暗になり、足元がふわりと軽くなった。
次に目を開けると、そこは元の○○公園だった。時計を見ると、異世界で数時間過ごしたはずなのに、現実ではわずか10分しか経っていなかった。
公園から消えた木
翌日、報告書をまとめてクライアントに送ると、数時間後に返信が来た。
「お疲れさまでした。調査結果を確認しました。約束通り、報酬をお支払いいたします。」
その後、確認すると、確かに50万円が振り込まれていた。
不思議な体験だったが、現実に戻れたことと報酬が無事に支払われたことで安心した。
ところが、数日後、再び○○公園を訪れると、あのケヤキの木がどこにも見当たらなかった。
「確かにここにあったはずなのに……。」
その後、公園の管理事務所に問い合わせても、「そんな木は元々ありませんよ」と言われた。
終わりのない謎
それ以来、あの異世界の街が夢に出てくることがある。住人たちの無表情な顔、甘すぎるコーヒーの香り、静まり返った空気――。
あれは一体何だったのか?夢か現実か、いまだに判断がつかない。
ただ一つ言えるのは、私がその異世界に本当に足を踏み入れたということ。そして、その経験が奇妙な形で私の記憶に深く刻まれているということだ。
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