目次
【プロローグ】
私は在宅でクラウドソーシングの仕事をしている。
ライティングやデータ入力など、特別なスキルがなくても稼げる仕事を選んで、地道にこなしてきた。孤独を感じることもなく、自宅でのんびり働けるこのスタイルは、私にとって理想的だった。
そんなある日、私は奇妙な依頼を受けてしまった――その選択がすべての始まりだった。
【不審な依頼】
その日の午後、クラウドソーシングのプラットフォームで新着案件を眺めていると、一つの依頼が目に留まった。
「ある特定の文章を写してほしい。1文字10円、簡単な作業です。」
1文字10円という単価は異常に高い。通常なら1文字1円が相場だ。怪しいと思いつつ、報酬に目がくらみ、詳細を確認することにした。
依頼内容は以下の通りだった。
与えられた文章をそのまま指定のファイルに書き写すだけ。
1,000文字程度の文章で、報酬は10万円。
納品期限は24時間以内。
「これ、本当にこんなに簡単でいいのか?」
半信半疑だったが、特にリスクもないだろうと考え、応募してみることにした。
【奇妙な文章】
依頼主からメッセージが届き、仕事を受注することになった。メッセージには添付ファイルがあり、そこに文章が書かれていた。
ファイルを開いてみると、内容はこんな感じだった。
「私は見ている。私は知っている。あなたの部屋、あなたの時間、あなたの動き。」
「気味が悪いな…」
文章は断片的で、不穏な雰囲気が漂っていた。それでも高額報酬に惹かれ、私は仕事を進めることにした。
【作業中の異変】
文章を写し始めると、次第に背中に視線を感じるようになった。
振り返っても部屋には誰もいない。しかし、パソコンのモニターに映る自分の顔が少し引きつっているのを見て、嫌な気持ちになった。
その後も作業を続けていると、急に机が揺れた。地震かと思ったが、外は静まり返っている。
「…疲れてるのかな。」
そう思いながらも、なぜか背筋が寒くなる感覚を覚えた。
【納品後の恐怖】
なんとか仕事を終え、指定された形式でファイルを納品した。
「これで10万円か…楽勝だな。」
そう思ったのも束の間、依頼主からメッセージが届いた。
「納品を確認しました。次の仕事もお願いします。」
次?そんな話は聞いていない。私は返信で「今回限りのつもりだった」と伝えた。
しかし、依頼主からの返答はこうだった。
「契約は終わっていません。あなたは私を呼び出した。」
【部屋の異変】
その瞬間、部屋の電気が一瞬消え、再び点いた。
モニターには見慣れないウィンドウが開いており、そこには次のようなメッセージが表示されていた。
「私はここにいる。次の指示を待て。」
慌ててパソコンを再起動したが、ウィンドウは閉じるどころか、デスクトップ全体に広がるように文字が浮かび上がった。
「逃げられない。」
【真夜中の電話】
その夜、私はなかなか眠れずベッドに横たわっていた。すると、突然スマホが鳴り始めた。
画面には知らない番号が表示されている。
恐る恐る出ると、電話の向こうから聞こえてきたのは、かすれた声だった。
「次の文章を用意しました。あなたはそれを書く。」
私は言葉を失い、電話を切った。だが、スマホの画面にはいつの間にか次の文章が表示されていた。
「私はもう近くにいる。」
【エピローグ】
その後、私はクラウドソーシングをやめ、すべての電子機器を手放した。
しかし、それ以来、深夜になると私の耳元で、かすかな囁き声が聞こえるようになった。
「あなたはもう、私と契約している。」
もし、クラウドソーシングで異常に高額な依頼を見つけたら――それはただの仕事ではないのかもしれない。
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