大学生だった頃、私は深夜のコンビニでアルバイトをしていた。当時は授業料を稼ぐために必死で、日中の講義の後、夜中まで働く日々を送っていた。夜中のコンビニは静かで、時間の流れがどこか異質に感じられた。それでも特に問題なく仕事をしていたのだが――ある日を境に、奇妙な出来事が続くようになった。
目次
新人アルバイトの噂
そのコンビニでは、私の他にも数人のアルバイトが働いていた。みんな気さくで仲も良かったが、ある日、スタッフの一人がこう話しかけてきた。
「最近、夜中に新人が入ったらしいよ。」
「新人?」と私は聞き返した。店長から新人が入ったという話は聞いていなかったし、その日シフト表を確認しても、そんな名前はどこにも載っていなかった。
「いや、俺も直接は見たことないけど、他の人が深夜に会ったらしいんだよ。なんか急にシフトに入ってきたとか。」
その話を聞いた時、私はただの勘違いか噂話だと思って気にしなかった。しかし、その夜、私の勤務中にその「新人」と出会うことになるとは思ってもみなかった。
深夜に現れた“誰か”
その日、いつもと同じように夜10時から朝5時までのシフトだった。日付が変わる頃にはお客さんも少なくなり、レジのカウンターでボーッと時間を過ごしていた。
午前2時頃、バックルームから人の気配を感じた。
「誰かいるのか?」
私はバックルームの方に声をかけた。普通は私一人だけのシフトのはずなのに、確かに足音が聞こえた。
奥に入ってみると、制服を着た若い男性が棚を整理していた。
「あれ、新人さん?」
そう尋ねると、彼は振り返らずに答えた。
「はい、今日から入りました。」
その声は低く、どこか冷たい印象を受けた。
「聞いてないけど、まあいいか……」と思いながら、そのままカウンターに戻った。
奇妙な違和感
その後も「新人」はバックルームや倉庫で仕事をしているようだったが、私は何かおかしいと感じ始めた。例えば、店内の防犯カメラを見ると、彼の姿がどの映像にも映っていない。
さらに、お客さんが来ているタイミングでレジに呼ぼうと思い、バックルームに声をかけても返事がない。それなのに、少し時間が経つとまた足音が聞こえてくるのだ。
“消えた”新人
気味が悪くなり、店長に連絡を入れた。
「すみません、今日から新人が入ったって聞いてないんですけど、誰か来る予定でしたか?」
すると店長は驚いたように答えた。
「いや、新人なんて採用してないよ。今シフトに入ってるのは君だけのはずだ。」
その言葉に背筋が凍った。バックルームを確認しに行くと、そこにはもう誰もいなかった。
翌日確認された事実
翌朝、私は防犯カメラの映像を確認することにした。バックルームのドアが開閉する様子や、足音が聞こえた時間帯を重点的に見てみたが――そこには私一人しか映っていなかった。
あの「新人」の姿はどこにもなかったのだ。
その後の噂
その後、私はそのコンビニを辞めたが、同僚から聞いた話では、あの「新人」を見たというアルバイトは他にもいたらしい。
そして、その話をさらに聞いていくと、ある噂にたどり着いた。何年も前、私が働いていたその店舗で夜勤中に突然行方不明になったアルバイトがいたというのだ。彼の失踪理由は今でも分からず、警察も未解決事件として扱っているらしい。
もしかすると、私が見た「新人」は、かつてそこで働いていた失踪したアルバイトの“残像”だったのかもしれない。
今でも時々思い出すこと
その出来事から数年経つが、今でも夜中にコンビニへ立ち寄るたびに思い出す。もし深夜のコンビニで誰か見知らぬスタッフを見かけたら――それが本当に「そこにいる人」なのか、一度立ち止まって確認した方がいいかもしれない。
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