目次
【プロローグ】
私は引っ越しを機に古い日本家屋を借りることになった。
都会から少し離れた田舎の静かな場所で、家賃も安く、古風な和室が気に入ったのだ。住み始めてから数日は何の問題もなく快適に過ごしていた。
だが、和室の押し入れの奥から、古びた日本人形を見つけてから、私の日常は徐々におかしな方向へと進み始めた――。
【押し入れの奥の日本人形】
引っ越して1週間ほど経ったある日、押し入れを整理していると、奥の方に小さな木箱があるのを見つけた。
埃をかぶったその木箱を引っ張り出し、蓋を開けてみると、中には古い日本人形が入っていた。
漆黒の髪が艶やかで、着物の柄も精巧に作られている。顔は陶器のように白く、赤い唇がどこか不気味だった。
「こんな人形があったなんて知らなかったな…」
一瞬捨てようかと思ったが、捨てるのも面倒だと思い、押し入れの中に戻してその場を後にした。
【異変の始まり】
その夜、私はふとした違和感で目を覚ました。
部屋の中が妙に静まり返っている。窓の外から聞こえるはずの虫の声すら聞こえなかった。
「何かおかしいな…」
和室の方からかすかな音が聞こえる気がして、そっと襖を開けると、押し入れの隙間から木箱が半分だけ飛び出しているのが見えた。
「確かに奥に戻したはずだよな…」
不安を覚えながらも木箱を押し戻し、その場を離れた。
【さらに深まる不気味さ】
翌日、仕事から帰宅すると、和室の畳の上にあの日本人形が立っていた。
「誰かが入ったのか…?」
家に侵入者がいたと思い、慌てて全ての窓や扉を確認したが、鍵はしっかりとかかっており、他に人が入った形跡はなかった。
「どういうことだ…?」
気味が悪くなり、人形を木箱に戻して再び押し入れの奥にしまった。
だが、それからというもの、夜になると何かの気配を感じるようになった。
【囁く声】
その夜、私は金縛りにあった。
体が動かず、呼吸すらままならない中、耳元でかすかな囁き声が聞こえた。
「…ここに…いる…」
声の方向を見ると、部屋の隅に何かが立っている。それは間違いなくあの日本人形だった。
しかし、押し入れに戻したはずの人形がどうしてここに…?
声を上げたくても体が動かず、目だけでその人形を見つめるしかなかった。すると、人形の顔がこちらを向いた瞬間、目が動いた気がした。
【人形の記憶】
翌日、私は恐怖心から地元の神社を訪れ、古いものを扱うことに詳しい神主に相談した。
人形のことを話すと、神主の表情が険しくなった。
「その人形は、以前に持ち主が亡くなった後、怨念が宿ったと言われているものです。」
詳しく話を聞くと、かつてその家に住んでいた女性が、自殺をする直前に大切にしていたのがその日本人形だったらしい。
「その人形を手放すには、供養が必要です。しかし、あなたのように外部の人間が関わると、思わぬ災いが降りかかることもあります。」
【最終的な決断】
供養を依頼する費用は高額だったが、私は迷わずお願いした。
神主が供養を行うと、人形の目がうっすらと閉じられ、表情がどこか穏やかになったように見えた。
「これで大丈夫です。この人形はもうあなたを苦しめることはありません。」
私は深く安堵し、その日の夜は久しぶりにぐっすりと眠ることができた。
【エピローグ】
しかし、供養を終えた翌日、家に帰ると、押し入れの奥にあの木箱が戻っていた。
蓋を開けると、中には再びあの日本人形が静かに座っていた。
もし、あなたが古い家で日本人形を見つけたら――決して無闇に触れてはいけない。それが、何を背負っているか分からないのだから…。
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