目次
気づきの始まり
私はごく普通のサラリーマンで、毎日を忙しく過ごしている。家にはあまり物がなく、シンプルな暮らしをしているのが自慢だ。
ただ、私は人より数字のこだわりが強い。
そんなある日、仕事から帰ってきて、机の上に置いてある電卓をふと見た。
「……あれ?」
電卓の表示が「0」ではなく、「1」と表示されている。もちろん電卓を触った記憶などない。朝家を出る前に確認した時には確かに「0」だったはずだ。
「まあ、気のせいか。」
特に気にすることなくその日は過ぎていったが、翌日もまた奇妙なことが起きた。
日々増えていくズレ
翌朝、目覚まし時計の時間がずれていることに気づいた。寝る前にセットしたはずの時間より、5分進んでいるのだ。
「最近バッテリーの調子が悪いのかな……。」
そう思って時計を再調整し、仕事へ向かった。
しかし、それ以降、家の中で数字が微妙にズレていく現象が頻発するようになった。
冷蔵庫のデジタル温度計が0.5度上がっている。
体重計の表示がいつもより2kg重くなる。
テレビの音量表示が勝手に変わる。
どれもほんの少しのズレで、些細なことだと思い込もうとしていたが、次第にその頻度が増していき、不安が募っていった。
ズレがエスカレート
一週間後、事態はさらに奇妙になった。
会社から帰宅すると、リビングの電気代メーターの表示が変わっていた。朝確認したときは「2510kWh」だったはずが、なぜか「2550kWh」に増えている。
「こんな短時間でこんなに電力を使うわけがない……。」
さらに奇怪だったのは、水道メーターだ。全く水を使わないはずの時間帯なのに、数字が増え続けている。
「……どうなってるんだ?」
不安に駆られ、ついにその日の夜、家中のデジタル機器を確認し始めた。
不可解な存在
電卓、体重計、温度計、時計――どれも微妙にズレている。そしてズレている数字には奇妙な規則性があることに気づいた。
例えば、電卓の「1」、時計の5分、水道メーターの「40L」――これらを合計すると、なぜか「46」という数字に収束していたのだ。
「46……何の数字だ?」
その夜、ベッドに入ると、眠れないほどの不安が押し寄せてきた。そして深夜、何かの気配で目を覚ました。
深夜の異変
暗闇の中、ふとリビングからかすかな電子音が聞こえてくる。
恐る恐るリビングへ向かうと、部屋の中のデジタル表示が一斉に点滅していた。時計、体重計、冷蔵庫――どの機器も「46」を示している。
「なんだこれ……。」
その時、背後で何かの気配を感じた。振り返ると、そこには人影のようなものが立っていた。
だが、それは人ではなかった。数字が浮かび上がる不定形の「何か」。その無数の数字が揺れながら、私に迫ってくる。
逃げようとして足がすくむが、その存在はただ私を見下ろしているだけだった。そして、かすかな声が耳元で響いた。
「ズレを埋める……。」
正常に戻った数字
翌朝、目覚めるとすべてが元通りになっていた。時計もメーターも、数字のズレは一切なくなっている。
「あれは夢だったのか……?」
だが、リビングの机の上に置かれていた電卓には、はっきりと「46」という数字が残されていた。
それ以来、家の中で数字がズレることはなくなった。しかし、46という数字を見るたびに、あの夜の出来事が脳裏をよぎる。
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