怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

数字が合わない人の人数 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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【プロローグ】

それは、仲間たちと行ったキャンプでの出来事だった。

私たちは大学時代の友人6人で集まり、久しぶりに山奥のキャンプ場へ行くことにした。社会人になってからはそれぞれ忙しくなり、全員で集まるのは数年ぶりだった。

晴天に恵まれた初日、私たちはバーベキューを楽しみ、夜には焚き火を囲んで思い出話に花を咲かせた。

しかし、楽しい時間は次第に奇妙な空気に包まれていくことになる――人数が合わないという異変に気づいた瞬間から。

【最初の違和感】

夜の焚き火を囲んでいる時、私はふと周りを見渡して違和感を覚えた。

「…ん?ちょっと待てよ。」

焚き火の明かりに照らされる友人たちの顔を一人ずつ数える。1、2、3、4、5、6…。

「おかしいな、7人いる…?」

私たちは6人のはずだった。しかし、焚き火を囲む輪には、私を含めて7人の影が見える。

「気のせいか?」

そう思い直してもう一度数えたが、やはり7人いる。だが、その中に誰が「余分」なのかは分からない。顔も名前も全員一致しているように思えた。

私は誰にもそのことを言わず、黙っていた。

【人数確認】

翌朝、朝食を準備しながら私は何気なく他の友人たちに聞いてみた。

「昨夜、誰か途中で来たとか、他の友達を連れてきたとかある?」

すると、みんな口を揃えて「いや、そんなことないよ。6人だけだろ?」と答えた。

「だよな…。いや、何でもない。」

妙な胸騒ぎを感じつつも、話を打ち切った。

その後、みんなで近くの川へ遊びに行ったが、人数の違和感は消えなかった。

写真を撮って確認しても、確かに7人写っている。だが、誰が余分なのか分からないのだ。

【7つ目の足跡】

川遊びの帰り道、私はさらに不気味なものを見つけた。

川からキャンプ場へ続く泥道に残る足跡を見ていた時のことだ。6人分の足跡が並んでいると思っていたが、よく見ると、もう1人分の足跡が混じっていた。

それは私たち6人が履いている靴とは違い、裸足の足跡だった。

「これ…誰のだ?」

友人たちに話すと、みんな顔を見合わせ、冗談めかして言った。

「お前、怖い話でも作ってんのか?」

しかし、私は笑えなかった。裸足の足跡は確かに7つ目だったからだ。

【最終夜の異変】

キャンプ最終夜。私は再び焚き火を囲む中で人数を数えてみた。

「1、2、3、4、5、6…7。」

どう考えても7人いる。だが、その「7人目」は誰なのかが分からない。友人たちの顔を見ても、全員が見覚えのある顔だった。

しかし、その瞬間、私は背筋が凍るような感覚を覚えた。

焚き火の明かりに照らされた友人たちの影を見た時だ。そこには、明らかに「1つ余分な影」が映っていた。

影の輪郭はぼやけており、誰とも一致しない形をしていた。

【帰り道での異変】

翌朝、私たちはキャンプ場を後にすることになった。帰り道、車に荷物を積み込み、人数を確認する。

「全員揃ったか?」

1人の友人が声を上げると、みんな「6人いる」と答えた。しかし、車の中で私はふとミラーを見た時、後部座席にもう1つの影が映っていることに気づいた。

「おい…お前ら、後ろ…」

そう言いかけた瞬間、車のミラーが一瞬曇り、影は消えた。

【帰宅後の恐怖】

キャンプから帰宅した私は、自宅で写真を確認した。撮影した写真には、やはり7人目が写り込んでいる。

しかし、その顔は誰とも一致しない。どの写真にも、同じ位置でぼんやりと佇む見知らぬ顔が映っていた。

そして、その夜、私の部屋の窓ガラスに「カタカタ」という音が響いた。振り返ると、そこには何もない。ただ、窓の向こうに、自分たちがいたはずのキャンプ場の風景がかすかに映っていた。

【エピローグ】

それ以来、私の生活には不可解な現象が続いている。

たとえば、エレベーターに乗るとき、ふと反射した鏡の中に「1人余分な影」が映る。カフェで席に着いたとき、椅子が1つだけ引かれる音がする…。

もし、あなたがどこかで人数のズレに気づいたなら、それは「7人目」があなたを見つけた合図なのかもしれない。

どうか、そのズレに気づかないフリをすることをおすすめする――彼が、あなたを見つける前に。



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