それは私が大学生の頃、友人たちとキャンプに出かけたときのことだ。夏休みのある日、私たちは山奥にあるキャンプ場へ車を走らせ、夜遅くまで騒ぐ予定だった。星がきれいに見えるという噂の場所で、自然に囲まれた環境が私たちの目的地だった。
しかし、その夜に起こった出来事は、星空を眺めるどころか、二度とその場所に近づきたくないと思わせる恐怖の記憶を私に刻み込んだ。
目次
夜の訪問者
キャンプ場は山の奥深くにあり、電灯もなく、夜になると完全な闇に包まれる場所だった。夕方に到着し、テントを張り、焚き火を囲んで料理を楽しんだ。
仲間たちと談笑しながら、夜は更けていった。星空は確かに美しかったが、周囲は真っ暗で、森の奥からは時折風が木々を揺らす音だけが聞こえてくる。
その時、焚き火の中にいた一人が言った。
「なあ……今、何か音聞こえなかったか?」
全員が耳を澄ませた。最初は何も聞こえなかったが、しばらくすると……
カンッ……カンッ……
それは、石が何かに当たる音のようだった。周囲は森で、人気はないはず。私たちは「動物でもいるのか」と軽く流してしまった。
繰り返される音
音はしばらくすると止んだ。気にせず、私たちは会話を続けた。しかし、30分ほど経った頃、再び音が響いた。
カンッ……カンッ……カンッ……
今度は、焚き火のそばにあった鉄のポットに石が当たるような音だった。全員が静まり返り、周囲を見回す。誰も何も見えない。
「まさか……誰かいるのか?」
恐る恐る声をかけてみたが、森は静まり返っているだけだった。
石の正体
気味が悪くなった私たちは、懐中電灯を手に持ち、周囲を調べることにした。光を頼りにテントの外を歩き回るが、誰もいない。
ただ、地面にはいくつもの石が落ちていた。それは明らかに、人の手で投げられたように見える配置だった。
「これ、誰かが投げてるよな……?」
友人の一人がそう言ったとき、再び石が飛んできた。今度は私たちの足元に転がるように落ちた。
「冗談じゃない! 誰だよ!」
私たちは声を張り上げたが、返事はない。むしろ、音は次第に私たちの周りをぐるりと囲むように聞こえてくる。
逃げる準備
怖くなった私たちは、荷物をまとめて車に戻ろうと決めた。しかし、車へ向かう途中でも石が飛んできた。
カンッ……カンッ……
しかも、音は車の方から聞こえてくるのだ。ライトで照らしても何も見えない。
「早く行こう!」
全員が急いで荷物を抱え、車へと走った。車に乗り込むと同時にエンジンをかけ、その場を離れようとしたが、最後の瞬間、フロントガラスに石が当たる音が響いた。
ガンッ!
しかし、周囲を見ても誰もいない。ただ闇が広がるだけだった。
その後の出来事
無事に街へ戻った後、私たちは地元の人にその出来事を話してみた。すると、地元の老人がこう言った。
「ああ、その場所は昔“暗夜の礫”って呼ばれてたところだよ。」
「暗夜の礫?」
「昔、あそこでは何人かの旅人が石を投げられる現象に遭遇したって話があるんだよ。でも、投げている人間の姿は誰も見たことがない。それで“暗夜の礫”って名前が付いたんだ。」
老人はさらにこう続けた。
「誰もいないのに石が飛んでくる。それは、何かがそこにいるってことなんだろうな……」
その言葉に、私たちは背筋が凍った。
結末と警告
その後、私は二度とあの場所へ行くことはなかった。キャンプ仲間たちともあまりその話をしなくなり、自然と疎遠になった。
ただ、一つだけ言えるのは、あの夜、あの場に“何か”がいたことだけは確かだということだ。
もしあなたが夜の山奥にキャンプに行くことがあれば、静かな闇の中から石が飛んできた時には注意してほしい。それはきっと、そこに“何か”がいるサインだから。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

