目次
【プロローグ】
深夜の静寂の中、ふいに響く音ほど不気味なものはない。
私がその現象に初めて気づいたのは、ある秋の夜だった。田舎の古い一軒家に住む私は、ここ最近仕事に追われ、夜遅くまで起きていることが多かった。
その夜も書斎でパソコンに向かっていると、家の外から「カツン…」という小さな音が聞こえた。
最初は、風で何かが飛ばされて壁に当たったのだと思い、特に気に留めなかった。だが、それが毎晩続くようになると、次第に違和感が増していった――。
【暗夜に響く礫の音】
深夜0時を過ぎると、決まって聞こえてくる音。
「カツン…カツン…」
まるで誰かが小石を投げつけているような音だった。
最初の数日は気にせず過ごしていたが、1週間も続くと不安が募り始めた。窓の外を覗いてみても、闇が広がるだけで何も見えない。
私は意を決して外に出てみることにした。懐中電灯を片手に家の周りを確認したが、小石どころか足跡ひとつ見つからない。
「気のせいか…?」
そう思いながら部屋に戻ったが、布団に入った後も耳元でその音が響くような気がして眠れなかった。
【謎の礫の正体】
翌日、音の正体を突き止めるために、家の周囲に防犯カメラを設置した。
カメラには夜間も撮影可能な赤外線機能がついており、これで何か映るだろうと思っていた。
深夜、いつものように「カツン…」という音が聞こえた。翌朝、私は緊張しながら録画映像を確認した。
画面には、家の周囲を覆う暗闇が映っている。だが、音が聞こえた時間帯になると、画面の端に小さな影が映った。
それは人影のようにも見えたが、明らかに普通の人間とは違っていた。体の輪郭がぼやけ、頭が異様に大きい。
その影が、私の家の壁に向かって何かを投げているようだった。
【不気味な石の出現】
翌朝、家の周りを再度確認すると、壁際に小さな石が数個転がっていた。
拾い上げてみると、それらは普通の小石ではなかった。表面には何か奇妙な文字が彫られており、触ると冷たいどころか、不気味な感触が手に残る。
「何だこれ…?」
その夜、再び「カツン…」という音が響いた時、私は思い切って外に飛び出した。
懐中電灯の光が暗闇を切り裂くが、そこには何もいない。ただ、地面には新たに同じような石が落ちていた。
【石に刻まれた警告】
私はその石を家に持ち帰り、明るい部屋でじっくりと観察した。
彫られている文字は、まるで古代文字のようだったが、一部が日本語に似ていることに気づいた。
「…去レ」
確かにそう読める文字が彫られていた。
「去れ…?誰に向けて?」
その瞬間、耳元で「カツン…」という音がした。
【追い詰められる恐怖】
その夜以降、音の頻度が増え、投げられる石の数も増えていった。
最初は1個か2個だった石が、今では数十個にもなり、朝起きると家の周りが石だらけになっていた。
さらには、家の中でも「カツン…」という音が響くようになった。壁に当たる音ではなく、まるで床や天井に石がぶつかるような音だ。
私は次第に追い詰められ、ついに限界を迎えた。
【最後の決断】
「去れ」という文字が意味する通り、この家から出るべきなのだろうか?
そう考えた私は、翌朝、最低限の荷物をまとめて家を出ることにした。
家を離れた後も、時折耳元で「カツン…」という音が聞こえる気がしてならない。
【エピローグ】
その家は、今でも誰も住んでいない。近所の人の話では、私が引っ越した後も家の周りに石が投げ込まれる現象が続いているという。
そして、私があの家を出た後も、夜になると耳元で「カツン…」という音が響くことがある。
あの音は何を意味していたのか――そして、石に込められた文字が伝えたかったことは何だったのか――。今でもその答えを知ることはできない。
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