目次
アンティークショップでの出会い
私は雑貨や古い物が好きで、休日にはよくアンティークショップ巡りをしています。その日も街の小さな通りにあるアンティークショップに足を運びました。
店内には古びた時計や絵画、家具が並び、時間が止まったような空間が広がっています。その奥に、何とも言えない存在感を放つアンティーク人形が置かれていました。
高さ30センチほどの陶器製の人形で、精巧に作られた顔立ちはどこか哀しげにも見えます。服はレースをふんだんに使ったヴィクトリア調で、髪の毛はまるで本物のように柔らかそう。
「なんだかこの人形……私を呼んでいる気がする。」
気づくと、店主に値段を尋ねていました。それほど高価ではなく、即決で購入しました。
人形を飾る日常
家に持ち帰った私は、リビングの棚の一角に人形を飾りました。家の雰囲気にぴったりで、見るたびに気分が和らぐ気がします。
しかし、その人形を飾ってから、奇妙なことが起こり始めたのです。
例えば、家にいるときに「ふわりとラベンダーの香り」が漂うようになりました。私はアロマを使っていないので、どこから来る香りなのか分かりません。
また、リビングに座っていると、まるで誰かに見守られているような気配を感じることが増えました。怖いというより、不思議と安心感を覚えるのです。
人形がもたらした「小さな奇跡」
ある日のこと。私はずっと探していたアクセサリーをどうしても見つけることができず、半ば諦めていました。
その時、何となくアンティーク人形の方に目を向けると、頭の中に「引き出しの奥を探してみて」という声が浮かびました。
言われた通りに引き出しの奥を探すと、何と失くしたはずのアクセサリーが見つかったのです。
「偶然……だよね？」
そう自分に言い聞かせましたが、それ以来、小さな出来事が何度も続くようになりました。忘れていた大切なメモを偶然見つけたり、ずっと音信不通だった友人から連絡が来たり。
人形のそばにいると、不思議と物事が良い方向に進んでいく気がしたのです。
スピリチュアルな過去の記憶
その人形について気になり始めた私は、購入したアンティークショップを再び訪ねました。
店主に尋ねると、店主も詳しい由来は知らないとのこと。ただ、手に入れた時から「この人形は特別な力を持っている」と感じていたそうです。
「これを手にした人は、運命が少しだけ良い方向に進むことが多いみたいですよ。ただ、不思議と手元に長く留まらないことが多いんです。」
確かに、この人形が来てから私の生活は少しずつ良い方向に進んでいましたが、いつか手放さなければいけない日が来るのかもしれない――そんな予感がしました。
人形との別れ
そんなある日、私は引っ越しをすることになり、荷造りを始めました。もちろん人形も大切に箱に入れて、新しい家に持って行こうと思っていました。
しかし、引っ越し当日、不思議なことが起こりました。人形を箱に入れたはずなのに、荷物を確認するとその人形だけが消えていたのです。
慌てて家中を探しましたが見つかりません。新居に着いても、引っ越し業者に確認しても、どこにも見当たりませんでした。
人形が残したもの
失くしたことにショックを受けましたが、不思議と心の中には温かい感情が残っていました。
それから数週間後、友人との会話で驚くことを聞きました。その友人も最近、アンティークショップで似たような人形を購入し、良いことが続いているというのです。
もしかすると、あの人形は今も誰かの手元に渡り、人生を少しずつ良い方向に導いているのかもしれない――。
私はそう思うことで、気持ちを落ち着けました。
「あなたの家に、特別な人形はありますか？それがもたらすものは、もしかすると“奇跡”かもしれません。」
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