ゲーム制作会社で働く私は、日々スケジュールに追われながら、デバッグや修正作業に明け暮れている。企画から開発、リリースまで膨大な工程があるが、特に最後のデバッグ作業は神経を使う。
私が所属しているプロジェクトは、いわゆる「オープンワールド型RPG」。広大なフィールドを自由に冒険し、クエストをクリアしていくゲームだ。リリース直前のこの時期、チーム全員が一丸となってバグの修正や最終調整に取り組んでいた。
その中で、ある日、奇妙な現象に遭遇した。
目次
不可解なエラーメッセージ
その日も夜遅くまで残業していた私は、キャラクターの挙動に関する不具合を修正するため、コードを確認していた。すると、コンソールに見慣れないエラーメッセージが表示された。
「WARNING: NOT YOUR DESIGN」
(警告:これはあなたのデザインではありません)
最初は単なるバグだと思ったが、メッセージの内容が妙に引っかかった。「NOT YOUR DESIGN」なんて、ゲームエンジンが吐き出すエラーとしてはおかしい。
さらに奇妙だったのは、エラーが表示されるタイミングだった。テストプレイ中、特定の森のエリアにキャラクターが近づくと、必ずこのエラーメッセージが出るのだ。
「これ、誰が仕込んだ?」
同僚たちに聞いてみたが、誰も心当たりがないと言う。社内でそんな冗談をする余裕もないほど忙しい時期だったので、悪ふざけとは思えなかった。
開発されていないクエスト
さらに奇妙なことが起きた。エラーメッセージが出る森のエリアで、テスト用キャラクターを移動させていると、突然「新しいクエストを受注しました」というポップアップが表示されたのだ。
だが、これが問題だった。このクエスト名「The Forgotten Path(忘れられた道)」は、どの資料にも載っていない。データベースを確認しても、そんなクエストが実装されている形跡はなかった。
「何だこれ…?」
クエストを進めてみると、謎の光が森の奥へと誘導してくる。光を追って進んでいくと、プレイヤーキャラクターが小さな祠の前で立ち止まり、自動的にモーションが発生した。
祠には文字が刻まれていた。
「ここにいる理由を探せ」
それ以上、何も起こらなかった。ただ、この祠を触るたびに謎のエラーメッセージが増えていく。
ログに残されたメッセージ
翌日、私は気になってエラーログを細かく調べてみることにした。すると、ログの中に人間の手で書かれたようなメッセージが含まれていることに気づいた。
「私はここにいる。助けてほしい。」
開発チーム内でログを共有し、調査を進めたが、結局誰もこのコードを仕込んだ記憶がない。外部からのハッキングも考えたが、その形跡もなかった。
まるでゲームの中に何者かが潜んでいるかのようだった。
祠の中身が語るもの
さらに調査を続ける中、私は一つのことに気づいた。祠の近くで見つかった光の挙動やモーションは、データベースに存在しない「未登録アセット」だった。つまり、この祠もその周囲のイベントも、誰かが意図的に追加したものではない可能性があった。
それでも開発スケジュールの関係で、この謎を解明する時間は取れないまま、リリース日は迫っていた。上司は「仕様外のデータは削除するように」と指示を出し、私は仕方なく祠やクエストを削除する作業に取りかかった。
最後のログ
祠や光を削除する直前、私は再びエラーメッセージを確認した。すると、最後に一つだけ、これまでとは違うメッセージが表示された。
「ありがとう。」
このメッセージを見た瞬間、なぜか胸が締めつけられるような感覚に襲われた。まるで、誰かがここで救われたかのような気がしたのだ。
リリース後の不思議な現象
ゲームは無事リリースされ、祠や謎のクエストは完全に削除された。だが、SNSでは奇妙な投稿が話題になった。
「森の中で謎の光を見た気がするけど、消えてしまった」
「祠の跡地っぽい場所を見つけたけど、何も起きなかった」
本来存在しないはずの場所が、何人ものプレイヤーによって語られている。
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