私は地元の不動産会社で働いています。仕事柄、夜遅くに空き物件を確認することも多く、慣れてはいましたが、ある古い一軒家での出来事は今でも忘れられません。
その物件は昭和初期に建てられた古い木造の家で、最近まで住人が住んでいたものの、老朽化が進み売りに出されたものでした。私は翌日に内見の予定があったため、夜に物件を下見することになったのです。
目次
不気味な軋む音
その夜、懐中電灯を片手に一軒家に入りました。古い木の扉を開けると、ぎぃ…という嫌な音が響き、湿った空気が鼻をつきます。明かりはなく、電気が通っているかも怪しい状態でしたが、私は「さっさと確認して帰ろう」と玄関から中へ入りました。
最初は特に何も感じませんでした。ただの古い家です。1階のリビングやキッチンをチェックし、次は2階へ上がろうとしたときでした。
階段の途中で、ぎ…ぎし…ぎし…という軋む音が聞こえたのです。
一瞬、「風で何かが動いたのか?」と思いましたが、窓は全て閉まっていましたし、空気もひんやりと静まり返っています。それに、その音は風で動く家具やドアの音ではなく、人が床板を踏む音のようでした。
音の正体を確かめに
不安になりながらも、「こんなことで怖がっていたら仕事にならない」と自分を奮い立たせ、音が聞こえた方向へ向かうことにしました。
軋む音は2階から聞こえてきます。私は慎重に階段を上がり、懐中電灯を2階の廊下に向けました。すると、廊下には古びた床板が広がり、両側に閉ざされた扉がいくつも並んでいました。
ぎし…ぎし…
音はまだ続いています。誰かが廊下の奥を歩いているような音。しかし、懐中電灯で照らしても、そこには誰もいません。
「誰かいるのか?」
私は声をかけてみましたが、返事はありません。ただ、音だけが続いています。
動き出す扉
恐る恐る廊下を進んでいると、奥の部屋の扉がゆっくりと動くのが見えました。まるで、誰かが中から少しだけ開けてこちらを覗いているかのようです。
「すみません、どなたかいますか?」
返事がないことを確認しつつ、私は心臓がバクバクしていました。それでも仕事だと思い、その扉に近づきました。そして、思い切って扉を開けると、中は真っ暗。懐中電灯を照らしても何もありません。
ホッとしたのも束の間、後ろからぎし…ぎし…と再び軋む音が聞こえてきたのです。
背後の気配
振り向くと、廊下の真ん中に何かがいました。人影のようなもの。しかし、それは人間の形をしているのに明らかに何かがおかしい。背中が不自然に曲がり、首がありえない方向に傾いているのです。
その影がこちらに近づくたび、床板が軋む音が響きます。私は恐怖で動けなくなり、懐中電灯を持つ手が震えました。
その影はゆっくりと私に近づき、目が合いそうになったその瞬間、私はパニックになり、全速力で階段を駆け下りました。
後日談
翌朝、不動産会社の上司に「あの家は無理だ」と伝えると、上司は少し困った顔をしながらもこんなことを言いました。
「ああ、あそこね。実は昔、2階で一家心中があったって噂があるんだよな…。夜に行くと変な音がするとか。」
私は二度とその家には行きませんでした。結局、その物件は売れず、今でも空き家のままです。
もしあなたが古い家を訪れることがあったら、軋む音にだけは注意してください。それはただの木の音かもしれませんが、もしかしたら何か別の存在がそこにいるのかもしれません…。
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