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引っ越し先での奇妙な音
これは、私が数年前に体験した話です。当時の私は都内で働いていて、仕事の都合で新しいアパートに引っ越しました。築30年ほどの古い木造アパートで、2階建ての4部屋しかない小さな物件でした。
家賃が安かったこともあり、古いことには目をつぶりましたが、入居して数日後から、妙な音が気になり始めたのです。
夜中の2時頃、ベッドでうとうとしていると、どこからか「ギシ……ギシ……」という軋む音が聞こえてきました。
「古い建物だし、きっと木材が縮んだりしている音だろう。」
最初はそう思って気にしないようにしていましたが、その音は夜になると決まって聞こえてくるようになりました。
音の正体を探る
気になり始めると、どうしてもその音の正体を確かめたくなります。
ある日、深夜に音が聞こえたタイミングで家中を調べました。床を歩いてみたり、窓を確認したりしましたが、どこも異常はありません。
しかし、音は確かに聞こえる。まるで、家のどこかで誰かがゆっくりと動いているかのように……。
「ギシ……ギシ……。」
音の発生源を探ろうと耳を澄ますと、それは天井の方から聞こえているようでした。
天井裏の秘密
古い木造アパートには天井裏があり、住人が入れるような小さなハッチがありました。
その夜、意を決して脚立を使い、そのハッチを開けて中を覗いてみました。懐中電灯で照らすと、そこには埃まみれの天井裏が広がっています。
しかし、特におかしなものは見当たりませんでした。何もいない。ただの空間。
「気のせいだったのかな……。」
そう思ってハッチを閉めようとしたその時、懐中電灯の光が何かを捉えました。
それは、天井裏の隅に置かれた小さな木製の椅子。
不気味な椅子の存在
「なんでこんなところに椅子が?」
誰が持ち込んだのか分からない古びた椅子は、埃をかぶりながらポツンと置かれていました。その椅子を見た瞬間、理由もなく背筋がゾッとしました。
それ以来、軋む音はさらに頻繁になり、音が鳴るたびに椅子の存在を思い出してしまいます。
まるで、誰かがその椅子に座っているかのような……そんな錯覚を抱かせる音でした。
深夜の出来事
ある夜、ついに音が耐えられなくなり、もう一度天井裏を確認することにしました。
懐中電灯を持ってハッチを開けると、そこには信じがたい光景が広がっていました。
数日前に見た木製の椅子が、ハッチのすぐ近くに移動していたのです。しかも、椅子の座面には埃が全くない。まるで、誰かが最近そこに座っていたかのように……。
怖くなった私はすぐにハッチを閉め、その日は一睡もできませんでした。
隣人の話
翌日、同じアパートに住む隣人にこの話をしてみると、彼は表情を曇らせ、こう言いました。
「実は、俺も聞こえるんだよ。夜中のあの音。でも……お前の部屋からしてると思ってた。」
その言葉を聞いた瞬間、全身が冷たくなりました。音の出どころが私の部屋だとしたら、天井裏の椅子の存在と何か関係があるのかもしれない……。
最後の音
それから数日間、音は変わらず聞こえ続けました。ついに耐えられなくなった私は引っ越しを決意し、部屋を出る準備を進めました。
引っ越しの当日、最後に部屋を確認していると、あの軋む音が一段と大きく響き渡りました。
「ギシ……ギシ……ギシ……。」
恐怖を感じつつも、最後にもう一度天井裏を確認するべきか迷いましたが、私はそのままハッチを開けることなく部屋を後にしました。
それ以来、そのアパートには一切近づいていません。
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