目次
居酒屋での会話が始まる
金曜の夜、私は大学時代の友人である健二と久しぶりに居酒屋で飲んでいました。刺し身の盛り合わせをつまみながら、他愛もない話で盛り上がっていたのですが、ふと健二が箸を止め、少しだけ真剣な表情になりました。
「なあ、お前、怖い話とか信じるか?」
突然の問いかけに驚きつつも、私は軽い調子で答えました。
「まあ、信じるってほどじゃないけど、聞く分には好きだよ。どうした?」
健二は苦笑いしながらグラスのビールをひと口飲み、視線を刺し身の皿に落としました。
「実はさ……これ、今まで誰にも話したことなかったんだけど……俺、高校生の時に本当にヤバい経験をしたんだよ。」
その声のトーンに、いつもの冗談っぽい健二らしさが全くなく、私は自然と身を乗り出して話を聞く体勢になりました。
健二が語る「引っ越し先の出来事」
「高校2年の時だったんだ。親の都合で引っ越すことになってさ。新しい家は一軒家で、築50年くらいのちょっと古めの家だった。でもまあ、俺の部屋が広かったし、それなりに気に入ってたんだよ。」
「へえ、いいじゃん。一軒家って憧れるよ。」
「最初はな。でも、引っ越して1か月くらいした頃から、夜になると変なことが起こり始めたんだ。」
私は興味津々で箸を置き、健二に促しました。
「変なことって?」
健二は少し声を潜めて話を続けました。
「俺の部屋って、窓の外に小さな庭が見えるんだけどさ、ある夜、部屋で勉強してたら、その庭に人影が見えたんだよ。」
「人影?」
「ああ、明らかに人だった。最初は泥棒かと思ってビビったけど、何かがおかしいんだよ。その人影、じっと俺の部屋の窓を見てるだけで、動かないんだ。」
不気味な人影の正体
「怖くなって、親を呼ぼうと思ったんだけど、声が出なくてさ。その間にも人影はずっとそこにいるんだよ。気味悪くて、思い切って目を閉じたんだ。で、数秒してからもう一回目を開けたら、そいつが消えてた。」
「……それって、本当に泥棒とかじゃなかったのか?」
「いや、次の日、親に話して庭を確認してもらったけど、足跡とか何もなかったんだよ。それに、その夜以降もたまに人影を見るようになったんだ。でも、誰にも言えなかった。」
健二の表情は真剣そのもので、私の冗談を挟む余地はありませんでした。
クライマックス:夢か現実か
「でも、一番怖かったのは別の日だ。」
健二は少し間を置き、息を整えてから話し始めました。
「その日は学校から帰って、部屋で昼寝してたんだ。そしたら、誰かが俺の名前を呼ぶ声がしたんだよ。すごく小さい声で、『けんじ……けんじ……』って。最初は夢だと思ったんだけど、はっきり目が覚めても、声は止まらなかった。」
「なんだよそれ……。」
「怖くて布団を被ってたら、突然、布団越しに誰かが俺の体を引っ張る感覚がしたんだ。『起きろ……』って声が耳元で聞こえて……もうパニックになって布団を蹴飛ばして飛び起きたんだよ。」
「で、その時どうしたんだ?」
「部屋には誰もいなかった。でも、床を見ると、濡れた足跡がついてたんだ。庭から窓を通って入ってきたような足跡が……。」
怖い話の後
健二はそこで話を終え、しばらく黙ってグラスを眺めていました。
「結局、それが何だったのか分からないまま、その家を卒業後に出たんだけどな。今でも時々、夢に出てくることがある。」
私たちはしばらく黙って刺し身をつまみ、ビールを飲み続けました。その夜の健二の話はあまりにもリアルで、一生忘れられないものになりました。
それ以来、私は窓の外に人影を見るのが怖くなり、夜中に目を覚ますたびにカーテンをしっかり閉めるようになったのです。
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