温泉旅館といえば、誰もがほっとするような癒しの場所ですよね。けれど、私が体験したのは、そんな旅館での少し怖い話です。
目次
一人旅の温泉旅行
その日、私は仕事の疲れを癒そうと、口コミで評判の温泉旅館に一泊することにしました。山奥の静かな場所にあり、到着するだけで心が落ち着くような雰囲気でした。チェックインを済ませると、女将さんがにこやかに出迎えてくれて、「今日はお客様が少ないので静かに過ごせますよ」と言われました。
実際、館内は驚くほど静かで、他の宿泊客の気配をほとんど感じませんでした。それでも、古風な畳敷きの廊下や、歴史を感じさせる調度品に囲まれ、なんだかタイムスリップしたような気分になりました。
夕食で出会った「他の客」
夜になり、食事処での夕食の時間がやってきました。広い食事処には私のほかにもう一人、年配の男性が座っていました。旅館の規模を考えれば、この人数はかなり少ないはずです。
その男性は70代くらいでしょうか、ずっと黙って食事をしていました。少しだけ目が合ったのですが、どこか虚ろな目をしていて、不思議な印象を受けました。気まずくなりそうだったので、私は目をそらし、自分の料理に集中することにしました。
食事を終え部屋に戻る途中、ふと気になり、振り返ってみました。すると、あの男性が私をじっと見つめていることに気づきました。まるで「何かを伝えたい」ような目でした。でも、声をかける勇気が出ず、そのまま自分の部屋に戻りました。
夜の大浴場
せっかく温泉に来たのだからと、部屋で一休みした後、大浴場に行くことにしました。時間が遅かったせいか、浴場には誰もいません。貸切状態の広い湯船でゆっくり浸かっていると、急に背後で「ザバァ」という水音がしました。
振り返ると、誰もいません。ただ、湯面が少し揺れているのが見えました。私は「気のせいだ」と自分に言い聞かせ、湯船を上がることにしました。
浴場を出るとき、脱衣所でまた奇妙なものを見つけました。ロッカーの中に、夕食で見たあの男性のものらしい浴衣が丁寧に畳んで置いてあったのです。どうやら彼も入浴していたようですが、湯船では一度も姿を見ませんでした。
消えた宿泊客
翌朝、チェックアウトの準備をしているとき、女将さんにふと尋ねてみました。
「あの、昨日の夜、食事処で会った年配の男性、どちらの部屋の方なんですか?」
すると、女将さんは不思議そうな顔をして答えました。
「昨晩のお客様はお一人だけですよ。他には誰も泊まっていません。」
思わず背筋が凍りました。確かに夕食処で隣に座っていた男性、そして脱衣所で見た浴衣――私の記憶は確かです。
ですが、女将さんは終始「昨夜は本当にお一人だけでしたよ」と繰り返すばかり。
帰り道の不思議な体験
旅館を後にし、山道を車で下る途中、ふとバックミラーを見ました。すると――
後部座席に、あの男性が座っているのが一瞬だけ映りました。驚いて振り返ると、そこには誰もいませんでした。
その後、無事に自宅に帰り着きましたが、いまだにあの旅館の出来事を思い出すと背筋が寒くなります。あの男性は一体何者だったのか、そして彼が何を伝えたかったのか――真相はわからずじまいです。
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