怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

小学生時代に拾った“奇妙な雑誌”の記憶が消えない理由 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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子どもの頃、学校から帰る途中に、道端で雑誌を拾ったことがある。
その雑誌は薄汚れていて、表紙も破れかけていたが、妙に目を引くデザインだったのを覚えている。

タイトルは『ミラクル・リポート』。
不思議な出来事や奇妙なグッズを特集している雑誌で、表紙にはキラキラした文字と、見たことのない器具が描かれていた。子どもの興味をくすぐるには十分だった。

「なんだこれ?」と思いながら持ち帰り、家の自室でページをめくってみた。

内容が“妙にリアルな”雑誌

中身は、一見すると子ども向けの読み物のようだった。奇妙なタイトルが踊る記事が並んでいたが、どれも内容が妙に具体的だったのだ。

例えば、こんな記事があった。

「夢の中に入れるゴーグル」
記事では、特定のゴーグルをかけて眠ると、自分の夢の中を自由に歩き回れるという話が載っていた。写真もあり、白黒ながらもそのゴーグルが実際に存在しているかのように見えた。

「消えるインクを使った手紙」
特定の条件で完全に内容が消えるインクが存在し、これを使えば秘密のメッセージを送れるという記事もあった。

さらに、「体験談」というコーナーには、ある人がそのゴーグルを使った結果、現実と夢の区別がつかなくなった話が書かれていた。

「これ、ホントなのか?」と首をかしげながらも、そのリアルさに引き込まれて何度も読んだ。

周りの友達には話さなかった

雑誌の内容があまりに突飛すぎて、誰かに話そうとは思わなかった。
「どうせ誰も信じないだろう」と思ったし、なんとなくその雑誌を見つけたこと自体、秘密にしておきたかったのだ。

しばらくは何度も読み返していたが、次第に忘れて机の中にしまいこんだ。気づけばその雑誌はどこかへ行ってしまっていた。

大人になってからの違和感

大学生になり、社会人になり…生活は変わっていったが、時々ふとその雑誌のことを思い出す瞬間があった。

「夢の中に入れるゴーグルなんて、まさか本当にあるはずないよな。」
そう自分に言い聞かせるように思い返すが、不思議な感覚が残る。

ある日、ふとインターネットでその雑誌について調べてみた。しかし、それらしい情報は一切見つからなかった。

あの雑誌は“なんだったのか”

時折思い返す。あの雑誌に載っていた内容はただの空想だったのか、それとも本当に存在するものを描いていたのか。

子どもの頃に手にした“奇妙な雑誌”が、いまだに記憶の奥底に引っかかっている。

もしもう一度、あの雑誌に出会えるなら、今度は隅々まで読んで真相を確かめてみたい。
ただ、現実にはもう一度手にすることはできないのだろう――不思議と確信している。



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