アルバイト募集サイトを眺めていたときのこと。
一つの求人が目に留まった。
「日本人形を預かる簡単なお仕事!1日1万円!」
「日本人形? 預かるだけで1万円?」
怪しいと思いつつも、仕事内容はシンプルだった。日本人形を数日間、自宅で預かり、指定の日に回収に来るという。それだけで1日1万円が支払われる。
お金が欲しかった僕は、好奇心も手伝ってその仕事に応募してしまった。
目次
バイト開始:人形との対面
翌日、指定された住所へ向かうと、古びた民家がそこにあった。出迎えてくれたのは60代くらいの女性。
「これが預かってほしい人形です。」
そう言って手渡されたのは、艶やかな黒髪が印象的な日本人形だった。緋色の着物をまとい、ガラスのような瞳が美しい…が、どこか不気味だった。
「これを家に置いておくだけでいいんですか?」
「ええ、ただし、丁寧に扱ってください。それだけ守っていただければ大丈夫です。」
念を押されて渡された人形は、想像以上に精巧で重たかった。
初日の違和感
人形を部屋の片隅に置き、バイト料を受け取った僕は、そのまま普段通りの生活を続けた。だが、その夜、妙な感覚に襲われた。
部屋の隅で、誰かにじっと見られているような気がする。振り返ると、そこには人形が置かれているだけ。
「気のせいだろう。」
そう自分に言い聞かせて布団に入るも、どうしても視線を感じる。
翌朝、人形を見ると、なぜかその位置が微妙にずれていた。
奇妙な現象
2日目の夜、さらに奇妙なことが起きた。部屋に響く小さな音。
「コト…コト…」
物音のする方を見れば、人形の周りに置いていた飾り棚の上にあった花瓶が倒れていた。
「まさか…」
心臓がドキドキしたが、自分の不注意かもしれないと無理やり納得させた。
だが、その晩、夢にまで人形が出てきたのだ。夢の中で僕は人形をじっと見つめていた。すると人形が不意に笑い、僕に語りかけた。
「ねえ、一緒に遊ぼう?」
目を覚ましたとき、冷や汗で布団がびしょ濡れになっていた。
女性からの注意事項
翌日、バイトの依頼主である女性に電話をかけ、奇妙な出来事を伝えた。
「すみません、ちょっと人形のことで気になることがあって…」
電話越しの女性は動揺もせず、淡々と答えた。
「気にしないでください。ただ、くれぐれも人形に悪いことをしないで。優しくしてあげてくださいね。」
何か隠しているようなその態度に、不信感が募った。
最終日の恐怖
バイト最終日、回収予定の夜。部屋に戻ると、いつもと違うことに気づいた。
人形がこちらを向いている。
「俺、置く向き変えたよな…?」
一瞬の冷や汗。その瞬間、人形の顔が動いた気がした。
怖くなった僕はスマホで写真を撮ろうとしたが、シャッターを切った瞬間、画面が真っ暗に。部屋の電気も一緒に消えてしまった。
真っ暗な部屋の中、足元で「コツ…コツ…」という音が響く。部屋の電気がつくと、人形が僕の足元に倒れていた。
回収とその後
その夜、女性が人形を回収しに来たとき、僕は恐怖で震えていた。
「お世話になりました。」
そう言って、女性は何事もなかったかのように人形を持ち帰った。
「この人形、なんなんですか? 何かおかしいですよね?」
問い詰める僕に、女性はにっこりと笑いながらこう言った。
「この子は寂しがり屋なんです。優しくしていただけて、喜んでいたと思いますよ。」
その言葉を聞いた瞬間、全身が鳥肌で覆われた。
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