私がまだ小学4年生の頃の話です。当時の記憶は今でも鮮明に残っていて、思い出すたびに奇妙で不思議な気持ちになります。これは私がほんの数日間「行方不明」になった時の出来事です。
目次
友達との山奥探検が始まりだった
その日、クラスメイトの大輔と健太の3人でいつもとは違う場所で遊ぼうという話になり、近所の山へ探検に行くことにしました。普段は山の手前の公園や小川で遊んでいましたが、その日はなぜか「もっと奥まで行ってみよう」と大輔が言い出したのです。
「怖くないの?」と私が聞くと、大輔が「大丈夫だって。奥には秘密基地があるんだよ」と笑いながら答えました。彼がそんな話を知っているはずもないのに、不思議とその言葉に私たちはワクワクしてしまい、山奥へ足を踏み入れてしまいました。
気づけば一人ぼっちに
山道を歩いているうちに、大輔と健太が「ここから先はヤバい気がする」と急に弱気になり始めました。けれども、私は「あと少し進もう」と意地を張ってしまったんです。
そのまま少し進むと、ふと後ろを振り返ると、二人の姿が見えませんでした。声をかけても返事はなく、探しても見つからない。少しずつ心細さが募り、泣きそうになりました。足元の枯葉や枝がザクザクと音を立てる中、いつしか私は完全に迷子になってしまったのです。
お地蔵様との出会い
泣きながら山道をさまよっていると、目の前に小さなお地蔵様がポツンと立っているのを見つけました。それは人の背丈よりも少し低い、苔むした古いお地蔵様でした。どこか安心感を感じさせる佇まいで、私は「助けて」と心の中で祈るように語りかけました。
すると、不思議なことが起きました。そのお地蔵様がまるで「こちらに来なさい」と導くように少しだけ輝いて見えたのです。恐る恐るその場に座り込むと、なぜか恐怖が薄れていき、心が落ち着いていくのを感じました。
不思議な3日間
その後の記憶は、夢の中にいるようにぼんやりしています。ただ、お地蔵様のそばにいる間、私は不思議と空腹を感じず、寒さや疲れもほとんど感じませんでした。近くには小さな沢が流れていて、水を飲んだ記憶だけはあります。
それからというもの、お地蔵様は言葉を発するわけではないのに、何か「大丈夫だよ」と安心させてくれるような存在でした。静かな山の中で、ただお地蔵様と過ごす時間が続きました。
発見された時の違和感
私が発見されたのは3日後の夕方でした。どうやら地元の捜索隊が出動し、大人たちが山中をくまなく探してくれていたようです。発見された時、私はお地蔵様の足元に座っていました。
驚いたことに、大人たちはそのお地蔵様のことを「そんな場所にお地蔵様なんてないよ」と言うのです。私がいた場所はただの木の茂る斜面だったらしく、お地蔵様など見当たらなかったとのこと。それを聞いて不思議な気持ちになりましたが、あの3日間の記憶は確かに私の中に残っています。
大人になっても残る謎
あれから年月が経ち、今では社会人として仕事をしています。ときどきあの時のことを思い出しますが、あの山奥で何が起きたのかは今でもわかりません。
当時、私の両親は「よく無事で帰ってきてくれた」と涙を流して喜んでくれましたが、私自身は何かに守られていた気がしてなりません。
あのお地蔵様は何だったのか? 本当に現実だったのか、それとも夢だったのか…。いまでも山を見るたびに、あの日のことを思い出してしまうのです。
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