目次
【プロローグ】
11月の冷え込んだ夜、私は仕事の帰り道にいた。
会社から自宅までの距離は徒歩15分ほどで、途中には小さな公園がある。枯れ葉が散り敷かれたその公園は、昼間は子どもたちの遊び場としてにぎやかだが、夜になると不気味なほど静かになる。
その日は仕事で疲れ切っており、できるだけ早く家に帰りたい気持ちだった。普段はあまり通らない公園の横道を抜ける近道を選んだのが、全ての始まりだった。
【静まり返る公園】
公園に足を踏み入れると、街灯の明かりは薄暗く、冷たい風が肌を刺した。
風に舞う枯れ葉がカサカサと音を立てる中、自分の足音だけが響く。
ザッ…ザッ…
散り敷かれた枯れ葉を踏む音が、夜の静けさの中で妙に大きく感じられた。
「近道、やめればよかったかな…」
そんなことを考えつつ、足早に歩いていると、不意に背後から同じような枯れ葉を踏む音が聞こえてきた。
ザッ…ザッ…
私の足音とほぼ同じリズムで、それが少しずつ近づいてくるのが分かる。
【追いかける音】
最初はただの偶然だと思った。公園を通る人なんて珍しくないし、同じ道を使う誰かがいるのだろうと考えた。
しかし、何かがおかしい。
ザッ…ザッ…
その足音は、私が歩くペースに合わせて速くなったり遅くなったりしているのだ。
試しに立ち止まると――足音もピタリと止まった。
「誰か…いるのか?」
振り返ってみたが、公園の薄暗い道には誰の姿もなかった。ただ、冷たい風が吹き抜け、枯れ葉がカサカサと舞っているだけだった。
【再び聞こえる音】
少し気味が悪くなりながらも、「気のせいだ」と自分に言い聞かせ、再び歩き始めた。
すると――また、背後から足音が追いかけてきた。
ザッ…ザッ…ザッ…
今度は明らかに私の足音よりも速い。まるで、すぐ後ろまで迫ってきているように感じた。
恐怖心が膨れ上がり、振り返る勇気も出ないまま、私は足を速めた。
【足音の正体】
公園を抜けるまであと少しのところで、私は思い切って振り返った。
そこには誰もいない――はずだった。
だが、その時、街灯の下にある枯れ葉の上で、目に見えない何かが確かに動いているのを感じた。枯れ葉が、何もない場所で踏まれたように音を立て、微かに沈み込んでいたのだ。
「何だ…これ…?」
目の前で繰り広げられる不可解な光景に足がすくみ、その場から動けなくなった。
【逃げるように家へ】
やっとの思いで足を動かし、公園を抜けて自宅まで全力で走った。
自宅にたどり着き、玄関の鍵を閉めると、ようやく少しだけ安心感が戻ってきた。だが、胸のざわつきは収まらない。
【枯れ葉の音が再び…】
シャワーを浴び、なんとか落ち着こうとしていたその時――。
ザッ…ザッ…
玄関の外から、枯れ葉を踏む音が聞こえてきた。
心臓が止まりそうな思いで耳を澄ませると、音は玄関の前でピタリと止まり、静寂が訪れた。
「まさか…ここまで追いかけてきたのか?」
恐る恐るドアの覗き穴から外を覗いてみた。だが、外には誰の姿もない。ただ、敷かれた枯れ葉が、確かに踏まれた跡を残していた。
【エピローグ】
それ以降、私は二度とあの公園の近道を通らなかった。
あの夜、私を追いかけてきた足音の正体が何だったのかは分からない。
ただ、一つだけ確かなのは―― あの音は、まだ終わっていない。
ある夜、ふと耳を澄ませると、自宅の近くで微かな枯れ葉を踏む音が聞こえたのだ。
「ザッ…ザッ…」
もしあなたが秋の夜に枯れ葉を踏む音を聞いたら――それが本当に自分の足音なのか、確かめた方がいい。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み

1冊115円のDMMコミックレンタル!

人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】

人気コミック絶賛発売中!【DMMブックス】

ロリポップ!

ムームーサーバー

新作続々追加!オーディオブック聴くなら - audiobook.jp


![]() | 新品価格 |

![]() |

![]() | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |

