目次
プロローグ
大人になってからも、ふと思い出すことがある。
それは、小学生の頃に体験した、忘れられない「怖い話」だ。
田舎の小さな集落で育った私は、自然豊かな環境の中で毎日遊び回っていた。
しかし、あの出来事をきっかけに、私たちの周りの空気は一変した。
それは、「友達が行方不明になった日」の話だ――。
第一章:小さな集落とお地蔵様
私が住んでいた集落は、本当に小さな場所で、住民はほとんど顔見知りだった。
そんな中、集落の外れにある「お地蔵様」が、子どもたちの間では特別な存在だった。
年季の入ったお地蔵様がぽつんと立っており、赤い前掛けが風に揺れている。そのお地蔵様の前には小さな祠があり、供え物がいつも欠かさず置かれていた。
大人たちからは「お地蔵様を粗末にすると罰が当たる」とよく言われていたが、私たち子どもにとっては怖さと同時に好奇心をそそられる存在だった。
第二章:行方不明になった友達
その友達――「タカシ」とは、特に仲が良かった。
タカシはクラスでも明るく、好奇心旺盛な性格だった。集落の外れにあるお地蔵様にも一番興味を持っていて、時々勝手に供え物を動かしたりして、みんなに注意されることもあった。
「お地蔵様の前掛け、赤いけど他の色だったらどうなるんだろうな?」
タカシがそんなことを言い出したのは、夏休みのある暑い日のことだった。
第三章:タカシの挑発
その日、私たちは集落の外れにある林で遊んでいた。タカシはお地蔵様のそばに近づき、笑いながらこう言った。
「前掛け、ちょっと動かしてみようぜ。別に怒られやしないだろ。」
「やめとけよ……罰が当たるって大人たちが言ってたじゃん。」
私や他の友達は止めたが、タカシは聞く耳を持たなかった。
「大丈夫だって。こんなの迷信だよ。」
そう言って、タカシはお地蔵様の赤い前掛けを外し、自分の首にかけて笑い出した。
「ほら、俺もお地蔵様みたいだろ?」
私たちは不安と恐怖でその場を離れるよう促したが、タカシはそのままふざけ続けた。
第四章:タカシの失踪
次の日、タカシは学校に来なかった。
先生やクラスメイトは「体調を崩したのかな」と軽く考えていたが、その翌日も、さらにその翌日もタカシは姿を見せなかった。
タカシの両親が警察に捜索を依頼し、集落全体でタカシを探すことになった。
私たちも大人たちに混じってタカシを探したが、どこにも見当たらない。
そして一週間後、タカシの母親が突然倒れた。
「お地蔵様が、タカシを返してほしいと言ってる……!」
錯乱したように叫ぶ母親の姿が今でも忘れられない。
第五章:お地蔵様の異変
その日、私たちはお地蔵様のところへ向かった。
祠の前には供え物がいつも通り置かれていたが、赤い前掛けが元通りに戻っていた。
「タカシが戻したのか……?」
しかし、何かがおかしかった。お地蔵様の表情が変わっているように見えたのだ。
以前は優しい微笑みを浮かべているように見えたが、その日はどこか険しい表情をしているように思えた。
その場にいた全員が、恐怖で言葉を失った。
第六章:再び消える前掛け
タカシが失踪してから一ヶ月が経った頃、集落にまた奇妙な出来事が起きた。
お地蔵様の赤い前掛けが、再び消えていたのだ。
誰が取ったのか分からないまま、村の長老が新しい前掛けを用意しようとしたが、赤い布をかけると風に吹かれ、何度も地面に落ちてしまったという。
それ以来、集落の人たちは供え物を増やし、お地蔵様を大切に祀るようになった。
結末
タカシは結局、二度と見つからなかった。
今でも時折、夏の暑い日にあのお地蔵様の前を通ると、風が吹き抜けるのを感じる。
その風は、まるでタカシの声のように「返せ」と囁いているような気がして、私は足早にその場を通り過ぎるのだ――。
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