目次
プロローグ
その家は、どこか奇妙だった。
見た目は何の変哲もない古い日本家屋。庭には手入れの行き届いた木々があり、長い年月を感じさせる佇まいだ。
しかし、何よりも不思議だったのは、 その家の周りだけいつも風が吹いている ということだった。
第一章:奇妙な風
私がその家の存在を知ったのは、友人の誘いで訪れた田舎の小さな村だった。
「お前、あそこの家知ってるか?」
「……どこ?」
友人は川沿いの道を指差しながら、村外れにある古い家の話をし始めた。
「何故かあの家の周りだけ、どんな日でも風が吹いてるんだよ。台風でもないのに、ゴォーって音が聞こえるくらい。」
「それだけならただの立地の問題だろ?」
そう返した私に、友人は真剣な顔で言った。
「いや……その風は、家の中に入ると止まるんだ。外では嵐みたいなのに、家の中は無音なんだよ。」
第二章:訪れた家
興味本位で、私はその「風の吹く家」を訪れることにした。
道案内を頼んだ友人は、「俺は行かない」と首を横に振り、結局一人で向かうことになった。
川沿いの細い道を歩いていくと、友人が言っていた通り、周囲はやけに風が強い。
やがて、木々の間にその家が見えてきた。
玄関先に立つと、風の音は耳をつんざくような轟音に変わっていた。
「こんな風じゃ住めるわけないだろ……。」
扉を押し開け、中に足を踏み入れると――音がぴたりと止んだ。
第三章:静寂の中で
外の強風が嘘のように、家の中は異様な静けさに包まれていた。
埃っぽい匂いが漂う部屋には、古い家具や飾りがそのまま残されていた。
一歩踏み出すたびに床が軋む音が響き、私はその音が耳に残るほどの不気味な静寂に気づいた。
ふと壁に掛けられた写真が目に入った。家族写真のようで、夫婦と子どもが笑顔で写っている。
しかし、その顔に違和感があった。
「なんだ……目が、全部こっちを見てる?」
写真の人々の目線が、自分を追いかけているように感じたのだ。
第四章:風が呼ぶもの
その時、外からまた風の音が聞こえ始めた。
「ゴォォォ……。」
風の音はどんどん大きくなり、まるで何かが近づいてくるようだった。
私は慌てて窓から外を覗いた。
木々が激しく揺れ、何かが風の中で動いているように見えた。それは、まるで「人影」のような形をしていた。
「……なんだ、あれ?」
その影が家に向かってまっすぐ近づいてきているように見え、私は恐怖で体が動かなくなった。
第五章:声を聞く
突然、家の中で聞こえるはずのない風の音が耳元で鳴り響いた。
「返せ……。」
それは低く、不気味な声だった。
「返せ……。」
声の方向を振り向くと、さっきの家族写真が壁から外れ、床に落ちていた。
拾い上げようとすると、写真の裏に何か書かれていることに気づいた。
「この家を離れるな――」
その瞬間、ドアが勢いよく開き、強風が家の中に吹き込んできた。
第六章:逃げ出した後
私は恐怖に駆られ、その家から飛び出して逃げた。
外では相変わらず風が吹いていたが、それ以上に感じたのは「何かに見られている」という視線だった。
走り続け、村の中心部に戻ると、友人が驚いた顔で私を出迎えた。
「お前、大丈夫か?」
「何なんだ、あの家……!」
友人は静かに言った。
「あの家に入った人はみんな、風の音が聞こえ続けるらしいぞ。たとえどこにいてもな。」
結末
それ以来、私は耳元で風の音を感じるようになった。
どれだけ静かな場所にいても、どこかで「ゴォォ……」という音が聞こえる。
あの家は一体何だったのか、風の正体は何なのか。
今でもその答えを知ることはできない。
ただ一つ言えるのは、もう二度とその家には近づかないということだ――。
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