私は昔からアウトドアが好きで、休日にはよく山へ出かける。登山の際には双眼鏡を持っていくのが習慣だった。風景を眺めたり、遠くの動物を観察するのが好きだったからだ。
しかし、ある日の登山で経験した出来事は、今でも私の中で消化しきれないままだ。あの双眼鏡が、ただの道具ではなかったのだとしたら――そう思うと、今でも背筋が寒くなる。
目次
謎の山道
その日は、地元で「幽玄岳(ゆうげんだけ)」と呼ばれる山に登ることにした。地元の人でもあまり足を踏み入れない山で、登山道も薄暗く、不気味な雰囲気が漂っていた。
双眼鏡を首から提げ、静かな道を進んでいくと、ふと道が二手に分かれている場所に出た。一方は明らかに整備された登山道、もう一方は獣道のように細く、何かに引き込まれるような雰囲気があった。
「こんな道、地図にはなかったよな……」
迷った末、私は興味本位で細い道の方を選んでしまった。
異様な風景
獣道を進むと、突然視界が開けた。そこには広大な平原が広がり、青白い光が地面を照らしていた。空は赤みを帯びた灰色で、周囲はまるで現実とは異なる不気味な景色だった。
「……なんだ、ここ?」
辺りを見回しても、明らかに普通の山とは違う。私は思わず双眼鏡を取り出し、遠くの様子を確認しようとした。
双眼鏡を覗き込むと、驚くべきものが目に飛び込んできた。
双眼鏡越しに見えたもの
双眼鏡の中には、奇妙な生き物たちが動いていた。人の形をしているが、異常に長い腕や足を持ち、皮膚は灰色。ゆっくりとした動きで何かを運んでいる。
その先には、黒い霧に包まれた巨大な建物のようなものが見えた。塔のようにも見えるその建物の周囲には、同じような生き物たちが集まっている。
「こんな場所、地図に載ってるわけがない……。」
双眼鏡を外して素眼で見ると、何も見えない。ただ平原が広がっているだけだった。だが、双眼鏡を覗き込むと再びその異様な風景が現れる。
謎の存在
双眼鏡越しに観察を続けていると、突然、一体の生き物がこちらを向いた。
「……え?」
まるで私がここにいることを察知したかのように、何も持たず、ゆっくりとこちらへ歩き始めたのだ。
その動きは明らかに不自然で、距離が離れているはずなのに、次の瞬間にはこちらに近づいてきているように感じた。
逃げ出す私
私は恐怖を感じ、双眼鏡を放り出してその場から走り出した。
「ここから出なきゃ……!」
獣道を駆け下りると、先ほどの二股の分かれ道に戻ることができた。しかし振り返ると、異世界の光景はどこにもなく、ただの暗い山道に戻っていた。
異常な双眼鏡
家に帰りついて、私は双眼鏡を確認した。放り出したと思ったそれはなぜか手元に戻っており、見覚えのない傷がついていた。
試しに部屋の中で覗いてみると――真っ暗な空間の中に、あの生き物たちがこちらを見つめていた。
「やっぱり……何かおかしい……。」
結末
その双眼鏡は、結局、怖くなって捨ててしまった。しかし、それ以来、夜になると窓の外から奇妙な音が聞こえるようになった。
まるで、何かがこちらを探しているような――そんな音が。
もし、双眼鏡を手にすることがあれば、注意してほしい。あなたが見る世界が、現実だけとは限らないのだから。
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