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引きこもりの俺が応募した仕事――依頼主の正体が奇妙すぎた 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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俺はもう3年近くニートをしている。

働かない言い訳はいくらでもあった。人付き合いが苦手、ブラック企業が怖い、そもそも朝起きるのが無理――。

そんな俺がある日、奇妙な求人を見つけた。

「在宅ワーク:簡単なデータ入力 報酬10万円/1件」

10万円? 1件で?

怪しさ満点だが、どうせ面接もないし、ちょっとした小遣い稼ぎのつもりで応募してみた。

届いた依頼内容

応募してから数時間後、俺のメールに返信が来た。

「ご応募ありがとうございます。詳細をお送りします」

添付ファイルを開くと、そこには謎のデータがズラリと並んでいた。

表のタイトルは「行方不明者リスト」。

名前、年齢、住所、失踪日が書かれている。だが、違和感があった。

「……どこかで見た名前だな?」

スクロールしていくと、確信に変わった。

それは、俺が過去にニュースやSNSで見かけた、実際に行方不明になった人たちの名前だった。

作業開始――だが異変が…

依頼の内容は、「リストのデータを照らし合わせ、行方不明者の共通点を見つけること」だった。

10万円の価値がある仕事とは思えなかったが、金のために手を動かすことにした。

作業を続けていると、あることに気づいた。

「……同じ町の人が多すぎる」

それも、俺が住んでいる町だ。

不気味に思いながらも調査を進めると、さらに奇妙なことが判明した。

「この失踪者、全員 “働いていない”……?」

依頼主の正体

リストに載っている行方不明者たちは、フリーター、無職、引きこもりばかりだった。

「これ、まさか……」

嫌な予感がして、自分の名前をリスト内で検索してみた。

検索結果: 1件ヒット

「○○ ○○(俺の名前)」
「年齢:26歳」
「住所:○○町○丁目○番地」
「失踪日:明日」

俺は一気に血の気が引いた。

その瞬間、パソコンの画面が勝手にブラックアウトし、キーボードがカタカタと動き出した。

「確認しましたか?」

画面に、さっきまでなかったメッセージが浮かび上がる。

「あなたは、明日 ‘消える’ 予定です」

震える手でキーボードを叩いた。

「どういうことだ?」

すると、次のメッセージが表示された。

「失踪者の法則に、あなたも含まれています」

「“働いていない者”は、順番に消えるのです」

翌日――本当に俺は消えるのか?

俺は一睡もできなかった。

“働いていない者は順番に消える”――あの言葉が頭から離れない。

もし本当なら、今日が俺の失踪日。

だが、どうやって消えるというのか? 誰かに連れ去られるのか?

不安でたまらなかったが、家から出る勇気もなかった。

時間だけが過ぎていく。

午後11時59分。

最後の瞬間を見届けようと、パソコンの時計をじっと見つめる。

00:00

……何も起こらなかった。

「ああ、やっぱりただの悪質なジョークか」

ほっとしてスマホを開くと、ニュース速報が表示された。

「本日未明、○○町に住む26歳の男性が行方不明に」

「……?」

開いて詳細を確認すると、書かれていた名前は―― 俺の友人だった。

消えるのは“順番”だった

俺はあのリストを思い出し、もう一度検索した。

「○○ ○○(友人の名前)」
「失踪日:今日」

“働いていない者”が順番に消える。

そして、俺の失踪日は明日ではなくなった。

「……誰かが先に消えたから?」

俺は震えながらリストを見つめた。

次の順番は、俺かもしれない――。



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