目次
会社帰りの違和感
その日はいつもより遅くなり、夜10時ごろにマンションに帰宅した。
エントランスを通り、エレベーターに向かおうとすると、廊下の隅に黒いゴミ袋がひとつ、ポツンと置かれているのが目に入った。
「……こんなところに?」
住人の誰かがゴミを出し忘れて、あとで捨てるつもりなのかもしれない。
しかし、このマンションはゴミ出しのルールが厳しく、こんな場所に放置する人はいないはずだ。
気にはなったが、そのままエレベーターに乗り、自室へ向かった。
繰り返される奇妙な出来事
次の日も、夜に帰ると同じ場所にゴミ袋が置かれていた。
「……昨日と同じやつか?」
不思議に思いながら通り過ぎたが、よく見るとゴミ袋が微妙に動いた気がした。
「……風?」
マンション内は密閉されているし、風が吹き込むことはない。
気のせいだろうと自分に言い聞かせ、部屋へ戻った。
しかし、その次の日も、そのまた次の日も、同じ場所にゴミ袋が置かれていた。
さすがに気味が悪くなり、管理人に問い合わせることにした。
管理人の言葉
「すみません、エントランスのところに黒いゴミ袋が何日も置かれてるんですけど……」
翌朝、管理人室を訪れると、管理人は少し困った顔をした。
「ああ……それ、誰のものかはわかってるんですがね」
「じゃあ、どうして放置されてるんですか?」
「……あれは、ゴミじゃないんですよ」
「え?」
「誰が置いたのかも、何が入ってるのかも、みんな知ってるんです。でも、誰も触っちゃいけないんですよ」
意味がわからなかった。
「どういうことですか?」と詰め寄ると、管理人はひそひそ声で言った。
「それに触ると……次は、自分が中に入ることになるんです。」
知ってしまった夜
その言葉が頭から離れず、夜遅くに帰宅したときも、ゴミ袋が視界に入ると心臓がざわついた。
今夜は、袋を見ずにエレベーターへ乗ろう。
そう思い、足早に歩いた。
しかし――
「……見つけた。」
背後から、かすれた声が聞こえた。
心臓が止まりそうになりながら、恐る恐る振り返る。
そこには、黒いゴミ袋が開いていた。
中に、人がいた。
こちらをじっと見上げる真っ黒な顔。
「次は……お前だよ」
瞬間、頭の中が真っ白になった。
それ以来
朝、目を覚ますと、自分のベッドの上だった。
「……夢?」
妙にリアルだったが、汗びっしょりになっている。
慌てて部屋を出て、エントランスへ向かう。
ゴミ袋は――なかった。
それ以来、二度とあの黒い袋を見ることはなかった。
だが、それから数日後、エントランスの張り紙にこんな注意書きが追加されていた。
『ゴミと見間違うものがあっても、決して触らないでください。』
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