目次
ふと見つけた古いおもちゃ
俺がそのおもちゃを手に入れたのは、たまたま立ち寄ったリサイクルショップだった。
休日、なんとなく店をぶらついていると、古びた木製の箱が目に入った。
中には小さなフィギュアやパズル、ビー玉など、昔の子供が遊んでいたようなおもちゃが無造作に詰め込まれている。
「懐かしいな」
そう思いながら手に取ると、一つだけ妙に気になる人形があった。
プラスチック製の小さな女の子の人形。
青いワンピースに、無表情な顔。
特に珍しいものではないが、なぜか視線を感じるような気がして、俺はその人形を買って帰ることにした。
奇妙な違和感
家に帰り、人形を机の上に置いた。
その日の夜、ふと目を覚ますと、妙な気配を感じた。
「……？」
部屋の中を見渡すが、特に異常はない。
しかし、朝になって気づいた。
人形の位置が変わっている。
昨晩、確かに机の隅に置いたはずなのに、なぜか中央に移動していた。
「まあ、気のせいだろう」
そう思いながら、そのまま仕事に出かけた。
夢の中の声
その夜、不思議な夢を見た。
暗い部屋の中、誰かの泣き声が聞こえる。
「……どこ？」
夢の中の俺は、何かを探していた。
やがて、目の前に扉が現れ、そっと開けると――
青いワンピースの少女が立っていた。
彼女はぼんやりとこちらを見つめると、何かを言おうと口を開いた――
その瞬間、俺は目を覚ました。
時計を見ると深夜2時。
「変な夢だったな……」
しかし、ふと気づく。
机の上の人形が、ベッドのそばに落ちている。
さすがに気味が悪くなった。
過去の持ち主
翌日、俺はリサイクルショップに行き、店員に人形の出どころを聞いた。
「え？ それ、どこで買いました？」
「おもちゃのコーナーだけど……」
「おかしいな。ウチではそんな人形、取り扱ってないですよ」
「いや、確かにここで買ったんだけど……」
困惑する俺に、店員がある話をしてくれた。
「実はこの店、時々“変な品物”が紛れ込むことがあるんです」
「変な品物？」
「誰も持ち込んでいないのに、いつの間にか棚に置かれてるんですよ。でも、気づくといつの間にか消えてるんです」
つまり、この人形も“どこからともなく”現れたものだったということか？
俺は気味が悪くなり、すぐに店を出た。
人形の真実
帰宅すると、部屋に入るのが怖くなった。
人形はまだそこにあるのか？
恐る恐る部屋に入ると――
人形が、こちらを見上げるように倒れていた。
「……」
このまま放っておくのも嫌だった。
俺は人形を持ち上げ、じっくりと眺めた。
すると、背中にうっすらと文字が刻まれているのに気づいた。
「さがして」
その瞬間、昨日の夢の光景が頭に蘇った。
青いワンピースの少女――もしかして、この人形の持ち主だったのか？
俺は急いでパソコンを開き、「青いワンピース 行方不明」などのキーワードで検索した。
すると、一つの事件がヒットした。
20年前、この近くで青いワンピースを着た少女が失踪したというニュースだった。
しかも、その少女はまだ見つかっていない。
俺の背筋に冷たいものが走った。
この人形は、あの少女のものだったのか？
そして、俺に何かを伝えようとしているのか？
人形の消失
その夜、人形を机の上に置いて寝た。
深夜、また夢を見た。
少女が立っている。
だが、今度は泣いていなかった。
「ありがとう」
そう言った気がした。
翌朝、目を覚ますと――
人形は消えていた。
部屋中を探したが、どこにもない。
結局、それ以来あの人形は現れなかった。
エピローグ：あの人形は――
あれは何だったのか？
俺が拾った人形は、少女の魂が宿ったものだったのかもしれない。
だが、それを証明する手段はない。
ただ、一つだけ確かなのは――
俺があの人形を手に入れた理由が、きっとあったのだろうということだ。
■おすすめ
マンガ無料立ち読み
1冊115円のDMMコミックレンタル！
人気の漫画が32000冊以上読み放題【スキマ】
人気コミック絶賛発売中！【DMMブックス】
ロリポップ！
ムームーサーバー
新作続々追加！オーディオブック聴くなら - audiobook.jp
 | 新品価格 |
 |
 | ページをめくってゾッとする 1分で読める怖い話 [ 池田書店編集部 ] 価格:1078円 |
