目次
懐かしい道
大学の友人たちと久々に集まり、居酒屋で酒を飲んだ帰り道。
すっかり酔いが回ってしまい、少し歩いて酔いを冷まそうと、一人で住宅街を歩いていた。
すると、ふと懐かしい道に出た気がした。
「……あれ?」
見覚えのある坂道。
古びた公園のブランコ。
昔通った駄菓子屋の跡地。
「懐かしいな……」
この道は、確かに俺が子供の頃に通っていた道だ。
だが、そんなはずはない。
大学からは電車で1時間以上離れているし、こんなところを歩いて帰れるわけがない。
「……まあ、酔ってるしな。気のせいか」
そう思い、駅へ向かおうと歩き出した。
無限ループの始まり
数分歩いても、景色が変わらない。
「あれ?」
さっきのブランコ。
また同じ駄菓子屋跡。
まるで同じ道をぐるぐる回っているようだった。
「さすがにおかしいな……」
スマホで現在地を確認しようとするが、なぜか圏外になっている。
試しに歩く方向を変えてみるが、どこへ行っても同じ景色。
「……もしかして、変なところに迷い込んだ?」
背筋に冷たいものが走る。
もう一人の俺
やがて、公園の前に差し掛かったとき、誰かがブランコに座っているのに気づいた。
懐かしい服装――小学生の頃の俺だった。
「……は?」
間違いない。
あれは俺だ。
ランドセルを背負い、膝に肘をついて、どこか寂しげな表情をしている。
恐る恐る近づくと、少年がこちらを見た。
「あ、やっと来たんだね」
「……何?」
「もう帰りたい?」
俺は一瞬、言葉を失った。
「……帰れるのか?」
少年はニコリと笑うと、指を差した。
そこには、見たことのない小道が伸びていた。
「ここを進めば帰れるよ」
逃げられない道
俺は少年の指した道を進んだ。
しばらく歩くと、ようやく住宅街の景色が変わり始めた。
「よかった、これで……」
そう思った瞬間、目の前に見覚えのあるブランコが現れた。
「……は?」
後ろを振り返ると、そこにはまた小学生の俺が座っている。
「やっぱりダメだった?」
俺は恐怖に駆られ、もう一度走り出した。
何度も、何度も、道を変えてみる。
だが、進めば進むほど、必ず同じ公園に戻ってしまう。
「……ふざけるな!!」
叫びながら駆け出すが、どれだけ走っても出口は見つからなかった。
目を覚ました場所
気づくと、俺はアパートの自室のベッドで目を覚ました。
「……夢?」
汗でびっしょりになっている。
スマホを見ると、朝の5時だった。
「なんだったんだ、あれ……」
しかし、机の上に置いてあったあるものを見て、俺の心臓が凍りついた。
それは、小学生の頃に使っていたランドセルだった。
エピローグ
それ以来、俺はその道を探そうとしなくなった。
もしも、もう一度あの道に迷い込んだら――
今度こそ、戻ってこれない気がしたから。
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