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懐かしのおもちゃ屋――そこにあるのは、思い出だけ 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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ふと見つけたおもちゃ屋

ある休日、久しぶりに実家へ帰った。

子供の頃によく遊んでいた公園を懐かしく思い、散歩がてら歩いてみると、ふと目の前に見覚えのない店が現れた。

「おもちゃのフジイ」

レトロな木製の看板が掲げられたその店は、昔ながらのおもちゃ屋のようだった。

「こんなところに、こんな店あったかな……?」

不思議に思いながらも、懐かしさに誘われて店のドアを押した。

そこにあった懐かしいおもちゃ

店内に入ると、昔遊んだおもちゃがずらりと並んでいた。

ビー玉、ベーゴマ、超合金のロボット、プラモデル、そしてファミコンのカセット……。

「うわ、懐かしい……!」

思わず手に取ると、そのどれもが新品同様の状態だった。

「いらっしゃい。」

奥から、白髪の店主らしき老人が姿を現した。

「懐かしいものばかりでしょう?」

「はい……でも、こんな店、昔からありましたっけ?」

「さあねえ。でも、お客さんが来てくれたのは嬉しいよ。」

老人は優しく微笑んだ。

「せっかくだから、一つ選んでいきなさいな。」

子供の頃、なくしたおもちゃ

どれも懐かしく、どれを買おうか迷っていると、ガラスケースの中に見覚えのあるものを見つけた。

「……あれ?」

それは、幼い頃に大切にしていた小さな車のミニカーだった。

ずっと持っていたのに、小学生の時に突然なくしてしまった。

「これ……俺の持ってたやつにそっくりだ。」

「そりゃそうだよ。だって、それは君のものだから。」

老人が微笑みながら言う。

「え……?」

思わずミニカーを手に取ると、裏側に自分が幼い頃にマジックで書いたイニシャルが残っていた。

間違いない。これは、俺がなくしたはずのミニカーだ。

「なんで、ここに……?」

老人は静かに笑った。

「ここにあるのは、誰かが忘れてしまった大切なものばかりさ。」

「忘れた……?」

「覚えていないのかい? 君がこのおもちゃをなくした時、どんな気持ちだったか。」

言われて、記憶が蘇った。

確かに、ミニカーをなくした日は、大事なテストの前日で、勉強のことで頭がいっぱいだった。

そのまま気にしないようにして、次第にミニカーのことは忘れてしまった。

「でも、どうしてここに……?」

「さあね。ただ、この店にはそういうものが集まるんだよ。」

持ち帰ったミニカー

なんとも言えない気持ちになりながら、俺はミニカーを手に取り、財布を取り出した。

「いくらですか?」

「持ち主のもとへ戻るものに、お金はいらないよ。」

「え……?」

「大切にしていたものを、また思い出してくれたなら、それでいいんだ。」

俺は礼を言い、店を後にした。

5.店がない

帰宅後、久しぶりにミニカーを手に取り、じっくりと眺めた。

「こんなに小さかったっけ……」

手のひらの上で転がすと、子供の頃に感じたワクワクした気持ちが蘇ってきた。

次の日、もう一度あの店を訪れようと、昨日の場所へ向かった。

だが、そこにはおもちゃ屋はなかった。

「え?」

周囲を見回しても、見覚えのある古い建物すらない。ただの駐車場になっていた。

「……夢?」

でも、ポケットの中には、確かにミニカーが入っていた。



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