怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

捨てたはずのおもちゃ 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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ある日、私は実家の押し入れを整理していた。長年放置された荷物を片付けていると、奥から懐かしいおもちゃが出てきた。

「……これ、昔遊んでたやつだ。」

手に取ったのは、小学生の頃にお気に入りだった人形のロボット。ボタンを押すと目が光り、「こんにちは!」と喋る簡単な機能がついていた。

だが、私はすぐに違和感を覚えた。

このおもちゃ、捨てたはずなのに。

壊れたはずのロボット

小学校低学年の頃、私はこのロボットを毎日遊んでいた。しかし、ある日突然壊れ、ちゃんと音が出なくなった。それどころか、電池を抜いたのに勝手に壊れた音で喋り続けるという現象が起こり、怖くなって母に頼んで捨ててもらったのだ。

「なんで……ここに?」

埃まみれではあったが、その姿は当時のまま変わらない。まるで、ずっとここにあったかのように。

私はそっとボタンを押してみた。

「……こんにちは。」

壊れていたはずなのに、機械音が鳴り響いた。

夜中に聞こえる音

その夜、私は実家の自分の部屋で寝ることにした。

すると、深夜2時ごろ――カチッという音がした。

電気をつけると、机の上に置いていたはずのロボットが床に転がっていた。

「……気のせいか。」

疲れが溜まっているせいだろうと自分に言い聞かせ、もう一度布団に入った。

しかし、しばらくすると――

「コンニチハ」

暗闇の中で、ロボットが勝手に喋った。

私は心臓が凍りついた。

動き出すおもちゃ

怖くなって、ロボットを再び押し入れの奥に突っ込んだ。

しかし、それからというもの、夜になるとどこからともなく機械音のような小さな声が聞こえてくる。

「……アソボウ……」

布団の中で固まりながら、私はただ朝が来るのを待った。

最後のメッセージ

翌日、私はそのロボットをビニール袋に入れ、ゴミ捨て場に持っていった。

しかし――

夜、私が眠ろうとすると、枕元にあのロボットが座っていた。

そして、いつもとは違う低い声で、はっきりとこう言った。

「……ナゼ、ステタ?」

その瞬間、私は叫び声を上げ、部屋から飛び出した。

結局、あれは何だったのか

次の日、母に相談すると、「そんなロボットなんて知らない」と言われた。

じゃあ、あれは何だったのか?

それ以来、実家に帰ることが怖くなった。

しかし、最近になってまた奇妙なことが起こり始めている。

家のポストに、あのおもちゃがプリントされた小さな紙が入っていたのだ。

そこには、たった一言――

「コンニチハ。」



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