目次
プロローグ
「おかしい……ゴミが減らない。」
どれだけ掃除しても、捨てたはずのゴミが また部屋のどこかに現れる。
最初は気のせいかと思った。
でも、だんだんと 何かが部屋に“溜まって”いく気がしてきた――。
第一章：ゴミが増える部屋
私は整理整頓が苦手だったが、ある日、思い立って大掃除をした。
「これを機に、スッキリしよう。」
いらない服、壊れた家電、読み終わった本――大量のゴミ袋をまとめて、部屋を片付けた。
一仕事終えてホッとしたのも束の間、次の日、仕事から帰宅すると 部屋の片隅に見覚えのあるゴミ袋が置かれていた。
「……え？」
捨てたはずのゴミ袋が、なぜか部屋に戻ってきている。
管理会社の手違いかと思いながらも、私はその袋をもう一度ゴミに出した。
しかし、翌日――
また 同じゴミ袋が戻ってきていた。
第二章：消えないゴミ
不気味に思いながらも、私はそのゴミ袋を開けた。
中身は 確かに自分が捨てたものだった。
着古したTシャツ、割れたマグカップ、賞味期限の切れたインスタント食品。
「なんで……？」
管理会社に問い合わせると、「そんなことはありえない」と言われた。
「もしかして、近所の誰かのいたずら……？」
そう思い、防犯カメラを設置することにした。
第三章：映っていたもの
翌日、またゴミ袋は部屋に戻っていた。
私はすぐに防犯カメラの映像を確認した。
再生ボタンを押し、早送りで深夜の様子をチェックする。
深夜2時――
何も映っていないはずの部屋の隅で、黒いゴミ袋が“ゆっくり”と膨らんでいく。
「……何これ……？」
まるで中に 何かが詰まっていく ように、袋は徐々に膨らみ、最終的に 捨てたはずのゴミが“元通り”になっていた。
私はゾッとした。
このゴミ袋は、 誰かが戻しているんじゃない。
「勝手に戻ってきている」んだ。
第四章：ゴミの正体
私は恐る恐る、もう一度ゴミ袋の中身を確認した。
そして、 違和感に気づいた。
「あれ……？」
確かに捨てたはずのものばかりだが、いくつか 記憶にないもの が混ざっている。
・見たことのないボロボロのノート
・古びた靴
・錆びたスプーン
「これ……俺のじゃない。」
急いでノートを開いた。
中にはびっしりと 誰かの筆跡 で、こう書かれていた。
「このゴミを捨てるな」
「捨てても戻ってくる」
「この部屋に溜めておけ」
そして、最後のページには――
「ゴミが溢れたら、次はお前が入る番だ」
第五章：増え続けるゴミ
その日から、私は 毎日新しいゴミ袋が部屋の隅に現れるようになった。
最初は1袋だったが、次第に2袋、3袋……と増えていく。
部屋の空間が、少しずつ“埋め尽くされていく” のがわかった。
「ヤバい……このままじゃ……。」
私は意を決して、部屋を引き払うことにした。
しかし、引っ越し準備をしていると、 玄関の前に大量のゴミ袋が積み上がっていた。
私の足元には、また見覚えのないノートが落ちている。
開くと、そこには 新しい一文 が書かれていた。
「この部屋のゴミを全部引き取らないと、出られない」
結末
それ以来、私はこの部屋を 出ることができなくなった。
扉を開けても、外には ゴミ袋が無限に積み上がっている。
窓の外を覗くと、街の景色は消え、 黒い袋の山がどこまでも続いていた。
「なんだよ……これ……。」
部屋の空間は少しずつ狭くなり、ゴミ袋の間で 私は身動きが取れなくなっていく。
そして、最後に残された 一つの空間 に、 “新しいゴミ袋”が置かれた。
それは――
私自身が入るための袋だった。
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