怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

川辺に現れるもうひとりの私 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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川沿いの散歩コース

僕の住んでいる町には、大きな川が流れている。

特に何があるわけでもないが、川沿いの遊歩道は景色もよく、夕方になると散歩をする人たちで賑わう。

僕も仕事帰りや休日に、川沿いを歩くのが習慣になっていた。

だが、ある日を境に、その習慣は途絶えた。

川辺に立つ“誰か”

その日も、いつものように川沿いを歩いていた。

ちょうど橋の下をくぐるあたりで、ふと視線を感じた。

対岸を見ると、誰かがこちらをじっと見ている。

遠くて顔まではわからないが、黒い服を着た人影だった。

何となく気味が悪くなり、その日は早めに帰ることにした。

しかし、それから毎日、川を歩くたびに対岸に同じ人影が立っているのだ。

しかも、不思議なことに、どんな場所を歩いていても必ず僕の正面に立っている。

普通なら、立ち位置がずれるはずなのに、まるで鏡の中の自分のように、同じ動きをしている。

…いや、"鏡"?

そう思った瞬間、背筋が凍った。

対岸にいるのは……僕自身じゃないか?

対岸の"もうひとりの自分"

ある日、意を決して、対岸へ渡ってみることにした。

橋を渡り、対岸へ着くと、そこには誰もいなかった。

しかし、今度は反対側の川岸――つまり、さっきまで自分がいた場所に、"あの人影"が立っていた。

やっぱり、僕そっくりの姿をした"何か"だった。

僕は鳥肌が立ちながらも、試しに手を振ってみた。

すると、対岸の"僕"も手を振り返してくる。

次に、ジャンプしてみた。

すると、対岸の"僕"も全く同じタイミングで跳んだ。

まるで鏡の中の自分が映っているみたいだった。

…でも、ひとつだけ違うことがあった。

それは、"向こうの僕"は笑っていたことだ。

口角が不自然に吊り上がった、ニヤリとした笑いだった。

僕は背筋が凍り、急いでその場を離れた。

消えない影

それからというもの、怖くなって川沿いを歩くのをやめた。

だが、ある日ふと気になって、昼間の明るい時間帯に川へ行ってみた。

すると、やはり対岸には"僕"が立っていた。

しかも、以前よりも少し近づいているような気がする。

まるで、じわじわとこちらに歩み寄ってきているようだった。

もう、二度と川へは行かないと誓った。

そして今日も…

それからしばらく、川には近づかなかった。

しかし、仕事帰りにふと電車の窓から川を見たとき、僕は息をのんだ。

川の岸辺に、"僕"がいた。

それも、僕がいるこちら側の岸に。

それ以来、夜になると、どこかで視線を感じるようになった。

川の水面に映る影。

駅のホームの向こう側。

エレベーターの扉が閉まる直前――

どこにいても、僕を見つめる"僕"がいる。

そして、あのニヤリとした笑みを浮かべている。

……僕が、"向こう側"へ行く日を待っているのだろうか?



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