目次
ある日届いた手紙
俺は普通のサラリーマンだ。毎日会社と家を往復し、特に変わったこともない退屈な日々を送っている。
そんなある日、家のポストに差出人不明の手紙が届いた。
「……なんだこれ?」
薄い茶封筒に、俺の名前だけが手書きで書かれている。
裏には何もない。
興味本位で開けてみると、そこには1枚の紙が入っていた。
『気をつけろ』
たったそれだけ。
意味がわからなかった。いたずらか? それとも間違い?
なんとなく気味が悪くて、その日は手紙をゴミ箱に捨てて忘れることにした。
不思議な一致
次の日、会社へ行くと朝から妙な雰囲気だった。
「昨日、隣のビルで事故があったらしいよ。」
「え? 事故?」
聞けば、俺がいつも昼休みによく行くカフェのすぐ近くで、ビルの外壁が崩れ、通行人が巻き込まれたらしい。
「マジか……」
偶然かもしれない。
だが、あの手紙の「気をつけろ」という言葉が、妙に引っかかった。
俺は昨日、たまたま仕事が忙しくて、そのカフェに行かなかった。
もしかして、行っていたら巻き込まれていたのか?
そう考えると、ゾッとした。
さらに届く手紙
それから1週間後、またポストに同じ茶封筒の手紙が入っていた。
開けてみると、またしても短い文章が書かれている。
『今日は帰り道を変えろ』
……何なんだ、この手紙は?
さすがに気味が悪くなり、その日はいつもの帰り道ではなく、少し遠回りして帰ることにした。
そして翌朝、ニュースを見て、言葉を失った。
俺が普段通る道で、昨夜、通り魔事件があったらしい。
しかも、被害者が襲われた時間は、ちょうど俺が帰宅していた時間と一致していた。
「……嘘だろ?」
もし、昨日手紙を無視していつも通りの道を歩いていたら……?
俺は鳥肌が立った。
手紙の正体
それからというもの、数週間に一度、「気をつけろ」「今日は〇〇するな」という警告の手紙が届くようになった。
そのたびに俺は忠告に従った。
そして、そのたびに、何かしらの事件や事故が発生していた。
俺は、この手紙を送ってくる人物が誰なのかを知りたくなった。
ポストに手紙が入れられる時間帯を調べるため、監視カメラを設置することにした。
そして、手紙が届いた翌日、カメラの映像を確認すると――
そこには、俺自身が映っていた。
深夜3時、寝ているはずの俺が、無表情でポストに手紙を入れていた。
「……え?」
そんなはずはない。俺は家で寝ていたはずだ。
じゃあ、俺が書いた手紙を、俺が受け取っていたのか?
でも、未来の出来事をどうやって知っていた?
考えれば考えるほど、わけがわからない。
それ以来、手紙は届かなくなった。
だが、俺は今でも考える。
あの手紙は、誰が書いていたのか。
そして、次の危険が迫っても、もう警告は届かないのではないか、と――。
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