大学時代の夏休み、友人たちと4人で小さな港町へ旅行に出かけた。海と川が交わる静かな町で、観光地というほど賑わっているわけではないが、素朴な風景と安い民宿が魅力だった。
その町には、「海沿いに白い影が並ぶ場所がある」という妙な噂があった。地元の人はその話を避けるようにしていて、観光案内にも一切載っていない。
興味本位でその場所に行ってみよう――そんな軽い気持ちが、あんなことになるとは思わなかった。
目次
奇妙な川沿いの道
夕方、地元の食堂で晩御飯を済ませた私たちは、噂の場所へ向かった。
町の外れ、海に流れ込む細い川のそばを歩いていくと、やがて周囲はほとんど街灯もなくなり、暗闇に包まれた。
川の向こう側には堤防があり、そこから海へと続いている。その堤防の上に、確かに「白い影」が並んでいた。
遠目には、人が立っているように見える。誰かの後ろ姿のようで、全員が川の方を向いているのがわかった。
「あれ……本当に人か?」
誰かがつぶやいた。だが、どうにも動いている様子がない。
動かない「人影」
私たちは好奇心に駆られ、川沿いの道を進んでいった。堤防の向こう、海風が冷たく吹きつける中、白い影はピクリとも動かない。
近づいてみると、影は20人ほどの列をなして並んでいる。距離は遠くないが、どうしても顔がはっきり見えない。
「……まさか、マネキンとか?」
冗談交じりに言ってみたものの、何かが違う気がしていた。背筋に冷たいものが走る。
私たちは足を止めた。
その瞬間、影の一つが、ゆっくりと首をこちらに向けた。
逃げ出す友人たち
「おい、今、動いたよな?」
次の瞬間、全ての白い影が同時にこちらを向いた。
その顔は……顔とは呼べないものだった。
目も鼻も口もない、ただの白いのっぺらぼうな「何か」。
恐怖で体が固まった私たちは、一斉に走り出した。川沿いの道を全力で駆け戻り、後ろを振り返る余裕もなかった。
追いかけてくる気配
走りながら、確かに後ろからザッ……ザッ……という足音が追いかけてくるのが聞こえた。
「振り返るな、絶対振り返るな!」
誰かが叫んだが、その声すらかき消されるほどの恐怖だった。
ようやく町の明かりが見えたとき、足音はピタリと止まった。振り返ると、もう何もいなかった。
ただ、川沿いに並んでいた「白い影」は、跡形もなく消えていた。
その後の異変
民宿に戻ってからも、誰もその話を口にしなかった。
だが、翌朝、友人の一人が言った。
「……昨日の夜、部屋の外に誰か立ってた気がする。」
私たちは顔を見合わせた。誰も確認する勇気がなかった。
最後の写真
旅行から帰った後、友人が撮った川沿いの写真を確認した。
そこには、白い影がはっきりと写っていた。
まるで、私たちの後ろに立っているかのように。
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