怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

奇妙な生き物が見える街 怖い話 奇妙な話 不思議な話 短編集

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プロローグ

ある日、私は 「奇妙な生き物」 を見た。

それは、犬でも猫でも鳥でもない。

形容するのが難しい、まるでこの世界の生き物とは思えないものだった。

でも、一番不思議だったのは――

「誰も、それに気づいていない」 ということだった。

第一章:始まりは、通勤途中の違和感

いつものように通勤電車に揺られていると、何かが目の端に映った。

ガラス越しに、奇妙なものが見える。

電線の上に、黒くてぐにゃりとした影のようなものが、ゆっくりと動いていた。

長い胴体に、やけに短い手足。

まるで影が実体化したような存在。

私は驚いて周りの乗客を見るが、誰も気づいていない。

あんなに目立つのに、誰も見ていない。

「見間違い……だよな?」

そう思い込もうとした。

でも、それは翌日も、同じ場所にいた。

第二章:増えていく奇妙な生き物たち

それからというもの、私は 至るところで奇妙な生き物 を目にするようになった。

・ビルの壁を垂直に這い上がる 手足の多すぎる影
・公園のベンチの下で、うごめく 透明な“何か”
・信号機の上に止まっている、顔のない鳥のような存在

しかし、誰も気づかない。

スマホを見ている人、仕事に急ぐ人、誰もが普通に過ごしている。

まるで、「見えてはいけないもの」 が見えている気がして、私は少しずつ不安になっていった。

第三章:彼らの存在に気づいた日

ある日のことだった。

私はいつものように帰宅する途中、駅のホームで奇妙な生き物 を見つけた。

今までのものとは違う。

それは、私をじっと見つめていた。

黒い穴のような目で、動かずに、ただ見ている。

「……見えてるのか?」

私は思わず呟いた。

その瞬間――

生き物が微かに笑った。

第四章:接触

それ以降、奇妙な生き物たちは 私のすぐ近く に現れるようになった。

・電車の隅でこちらを見つめるもの
・自宅の窓の外で、じっと立っているもの
・寝ているとき、ベッドの足元で丸くなっているもの

周囲の人々は、やはり気づかない。

私はある日、意を決して その生き物に話しかけてみた。

「お前……何なんだ?」

すると、彼らは一斉に笑った。

耳元で、誰かの声が囁く。

「やっと、気づいたね。」

第五章:世界のひずみ

私は次第に理解した。

奇妙な生き物たちは、ずっとそこにいたのだ。

見えないだけで、私たちのすぐそばに存在している。

もしかしたら、彼らのほうが“本当の住人”で、私たちが異物なのかもしれない。

それからというもの、私は彼らを無視できなくなった。

だって――

彼らは、私が気づいたことを知っているから。

結末:見えてはいけないもの

今も、私は普通に生活している。

仕事に行き、帰宅し、眠る。

でも、どこにいても彼らはいる。

あなたが今、この記事を読んでいるときも。

ふと、後ろを振り返ってみてほしい。

もしかしたら、そこに――

「あなたを見ている何か」 がいるかもしれない。



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